「 、」
ここ、は、 いつか、一度来たあの場所だろうか。
「( また、あの感覚)」
目を瞑っていようが、そうでなかろうが、目の前に広がるのは暗闇で。けれどそこから寂寞とした感覚というのは伝わってこない。もう何年もその感覚に触れていないけれど、それが霞んでいくことなんて、ありえなくて。
「 シリウス、」
彼の名前を、喉を震わせて声として口の外に出せば、私を包んでくれている“何か”が、さらに強く、優しく、寄せられた気がした。何だか、それが以前ここに来た時よりも、濃く、深く、私の周りを守ってくれている気がして、
「( 貴方に、近づいているのかしら、)」
もうすぐ、 もうすぐで、彼の無実を証明できる確固たるものが掴めそうなのだ、何か、その決定的な何かが。
「( 大丈夫、落ち着いて考えて。)」
自分に言い聞かせるように、深呼吸をして神経を集中させる。不思議な事に、ここだとそれがいつもよりも早く、上手く、できると感じて。
「(彼は、自分が無実である証拠を掴んでいる、)」
これはきっと、間違いない。ハリーを何かから守ろうとしている、その何かが、同時に私が欲しいその証拠なのだろう。でも、その何かが、分からない。
「( もう少し、だっていうのに、)」
ハリーを危険にさらしている何か、それは 人? 物?
「(何が、彼をそんなにまで、)」
いや、焦っては駄目だ。それた方向に行きかねない。ゆっくり、落ち着いて、順序よく考えて。ピースと空いている場所を良く見極めて。再度、深呼吸をしようと暗闇の中、上へと仰いだ。何か、何かが足りない、 そう思いながら暗闇を当てもなく彷徨い眺めていれば、一瞬だけ、燦めいた その、
「っ!!(何故、シリウスはあの時、ロンの所へ?)」
その光が、瞬いた瞬間に、自分の頭にも、それが瞬時に入ってきたような感覚に襲われた。そうだ、見落としていた。何故、ハリーを守ろうとしていたシリウスが、ロンのベッドへと向かった?ハリーとロンを見間違えるはずがないのだ、いくらハリーと会ったのが小さい頃からだと言って、見間違えるはずがない、あんなにジェームズとリリーにそっくりなのだから。
「( なら、何でロンのベッドに?)」
それは、ロンのベッドに、
「 その答えがあったから、」