クィディッチ優勝戦前のイースター休暇。課題が多く出されてそれをこなしている生徒や、クィディッチの練習に費やしているハリー達、さまざまにその休暇を過ごしている中、私はその休暇を利用してもう一度頭の中にある情報を整理することにして。
「(何か、見落としている事があるかもしれない。)」
数え切れない程調べた当時の事件に関する資料を部屋に籠もって読み返す。シリウスに止められてしまい現場へと向かう事が出来なかった私は何が起こったのかその場で直に見ていなくて、彼が捕まったという事を知ったのは魔法省の人が家に訪ねてきた時だった。
「( ずいぶんと昔のように、)」
あれからもう何年経っただろうか、本当にずいぶんと時間を要してしまった。ずいぶんと、彼を冷たい監獄の中に閉じこめさせてしまった。気持ちばかりが焦るのを止められないままに、その資料を見るだけで溢れだしてしまう感情を抑えきれないままに、冷静になってそれ検討した事なんて今までに何度あっただろう。リーマスやダンブルドア先生のおかげで、今なら昔よりもその資料を冷静に読める気がした。
「(ジェームズとリリーは、ヴォルデモートに殺されてしまった。)」
けれど狙われていたのならそれ以前にも幾度と無くあった。そして以前は機転を利かせて逃げ切ることができていたのだ。それがこの事件の時に限って失敗したという事はそれ相応の事があったはず。それに気になるのは、 何故ヴォルデモートはジェームズ達の居場所を把握できたのかという事だ。
「(ヴォルデモートは彼らを見つける事すらできなかったのに、何故この時に限って、)」
この時、どこかで歯車が狂わされてしまったのだ。けれどそれがどうして起こりえたのかが分からない。ヴォルデモートが見つけられないのなら、配下にいる人間だってジェームズ達の場所を知り得る手段なんてあるはずもないのに、どうして彼は場所を知り得た?
「(あの作戦は完璧だったはず、)」
ヴォルデモートはシリウスが秘密の守人だと判断して彼を追ってくるだろうと予測した彼はピーターを秘密の守人にすることを提案した。ジェームズ達も私もそれに賛成したのだ、完璧な目くらましになると。けれどその作戦は
「( どこかで作戦が漏れた?)」
いや、そんな事があるはずない。あの作戦を知っていたのはジェームズ、リリー、シリウス、私、そしてピーターだ。リーマスにも教えようとしたのだけれど、その提案を決めたのがヴォルデモートがやってくるであろうその日の前日だったものだから、伝える暇がなかったのだ。5人だけが知っているこの作戦がどうやって漏れるのか。
「( 駄目だ、いつも同じ所で止まってしまう。)」
別の視点から考えてみるべきなのだろうか。そもそも、シリウスはピーターの安否を確認するために彼の家に行ったはずだった。けれど彼が捕まってしまったのはジェームズ達のいた場所で、そして自分の家にいるはずのピーターがいたのもジェームズ達のいた場所だ。
シリウスとピーターが一緒に彼らの家へと行ったのだろうか。しかしそんな事をすれば、ヴォルデモートに見つかってしまう可能性がある。それにあまり考えたくない事だけれど、万が一ジェームズ達のいる場所へ着いたとして、何故ヴォルデモートはシリウスだけを生かしたのか。慈悲深いなんて言葉にはほど遠い男が、自分の敵であると認識した人間を生かしておくはずがない。
「(シリウスとピーターが一緒に彼らの元へ行っていないのだとしたら、)」
彼らが一緒に行っていないと推測を立てるとするなら、状況的に考えて、ピーターの後にシリウスが彼らの元へと向かったと考えるのが妥当な線だ。そうなると、シリウスがピーターの家に行った時にはピーターがその場にいないという事になる。彼がいない事を知ったシリウスが心配になってジェームズ達の元へ行ったのは分かるのだけれど、それなら何故、
「 何故ピーターは、彼らの元に?」