シリウスが学校に再度現れてから最初の週末、3年生以上はホグズミードへと行けることになった。ハーマイオニーとロン、ハリーのいざこざがまだ続いているようだったから、私もハーマイオニーと一緒にいてあげたかったのだけれど、シリウスの指輪の一件があってからリーマスと話をできていなかったからこの前のお礼も言わなくてはと思い、今回は行かないことにした。

ハリーは行くと言っていたけれど、あまり大胆な行動をし過ぎればそれだけ見つかってしまう可能性も高くなってしまう。一応、忠告はしておいたけれど、ジェームズの息子という事を考えればその忠告も意味のないものになってしまうだろう事が簡単に予測出来てしまうのだけれど。(ふふ、彼らもそうだったしね。)



「ルーピン先生、おられますか?」


「少し分からないところがあるのですが、」 未だに友人にルーピン先生、なんて言うのを慣れないでいる自分に苦笑をしながらノックをするのだけれど、中からその先生の声が聞こえなくて。どこか出ているのだろうかと思い、出直そうと談話室へ足の方向を変えれば、後ろから聞こえてきたのは私が入ろうとしたその部屋の主であって。


?」
「   ルーピン先生、」


リーマスが私の姿を捉えた瞬間、自分の部屋へと来たのだと察知してくれたのだろう「さあ、中へどうぞ。どこか分からないところでもあったのかい?」 なんて先生らしいその言葉を私にかけてくれて部屋の中へと入れてくれる。先程いい加減慣れないとなんて思っていたばかりなのに、それでもやっぱり彼のその先生のような言動に、いや先生なのだけれど結局私の中では友人としての彼が長く意識の中にいるものだから、思わず可笑しくなって堪えきれずに声を漏らしてしまった。


「ふふ、」
「?、どうかしたの?」
「いや、何だか、やっぱり友人を先生なんて言っているのが可笑しくて。」


「リーマスが先生と呼ばれるのは何だか分かるんだけどね?」 そう、ただ、学生生活を共に歩んでいた事のある友人を目の前に生徒と先生、だなんて関係が成り立っているのがおかしく感じてしまって。紅茶を淹れてくれているリーマスにそう言葉を返しながら、いつものようにソファへと腰を下ろして入れば、リーマスはそんな私を見ながら自身も微笑んで私の方を見つめてきてくれて。


「リーマス?」
「嬉しいんだ。君がそんな風に、学生の時のように、」


「笑ってくれる、君のそんな姿が見る事が出来て。」 温かい紅茶を私の方へと差し出してくれながら、そんなことを言ってくれるリーマス。彼にさえそんな事を言われるということは、自覚はしていたのだけれどやはり今までの私は本当に目の前に見える光を捕まえようと、糸を紡ごうとする事だけに必死だったという事で。

周りを見ているようで結局は何も見えていなくて、光にすら近づいているようで結局は近づいていなかったという事で。


「余裕があるといったら、もちろん嘘になるけど、」
「   うん、」
「でもね、彼がいつも言ってくれていた事を思い出したから。」
「言ってたこと?」


「俺はどんなでも好きだぜ。 あー、でも、が笑ってる時が俺自身も幸せに感じるんだよなあ。」


「だから、彼がいつ帰ってきても良いように、できるだけ笑っていなくちゃと思ったの。もちろん、心からそう感じているようなそれで。」
「   うん、」


私自身も彼の笑みが、彼の幸せそうに浮かべるその顔が、


「私も彼の笑っている顔が、大好きだから。」


私の心までも、幸福感でいっぱいにしてくれる、その愛しい笑みが、


「  そうだね、それが良いと思うよ。シリウスのためにも、  君のためにも。」
「リーマス、ごめんね?あなたはこの事を以前も言っていてくれていたのに、私ったら、目の前にある光だけを目で追って。」
「ううん、気付いてくれただけで良いんだ。君がそうやって、前のように笑ってくれたら。」


「それから、周りを見えるようになっただけじゃなくて、その見えた周りの人にも頼るということをしてくれたら、僕もダンブルドア先生も、もっと嬉しいけどね?」 この道は険しい道だから誰も巻き込みたくないと、私がそう思っている事を分かっているかのように、リーマスはいつも繰り返して何の躊躇いもなくそう言葉を紡ぎ出してくれる。


「繰り返し言っていないと、君は忘れてしまうし、折れてくれないからね。」


「まあ、君の意志は強過ぎるから、折れるなんて所、見たことがないけれど。」なんて、笑みを浮かべながらそんな事を私に向かって言ってくるリーマス。その中に込められている意図が理解できるから私は決まりが悪そうに彼から顔を背けてしまう。ダンブルドア先生、そしてシリウスにも言われたことのあるその言葉、一人で無理をするなと何度も言われてきたその言葉なのだけれど、それに気付くのはいつだって人に言われた後であって。


「君一人で無理をすることなんてないんだよ。」
「   リーマス、」


「僕たちみんなで救い出すんだ、ね?」


優しい、そして頼もしいその笑みを浮かべながら喉を震わせて発してくれるその言葉が、とても温かくて私の中へと響いていくのが感じられたのだ。

My, Your,   Our Friends

シリウス、私達の友人はこんなにも、  温かい