それから、明け方になるまでリーマスと他の先生に見つからないように学校の中を探し回った。けれどやはり彼の姿は見つからなくて、私の見つけた彼の指輪が、彼が残した唯一の跡だった。ダンブルドア先生にはこの事を知らせなくてはいけないと思ったから、少しだけふらついてしまっているその足でそのまま校長室へと向かった。


「ダンブルドア先生、」
「おお、来たか。さあ、そこに座ると良い。」


校長室へと入れば、先生はきっと私がここにくる事を分かっていたのだろう、テーブルには私の大好きなその紅茶が白い湯気を立てておいてあった。その側には朝食代わりのそれだろうか、パンが数切れジャムと共に置いてあった。「飲むと良い、ずっと探しておったのだろう?」 そう言って紅茶のカップを私の方へと寄せてくれたから、それを受け取って何かを落ち着かせるように喉を潤した。


「何か、見つかったかの?」


ダンブルドア先生のその言葉に、ポケットの中へと入れていたハンカチを取り出してその中にあるシリウスが持っていてくれたそれを掌へと乗せる。彼のそれをプレゼントしたその日からずいぶんと日が経っているというのにそれを思わせないようなその色。その輝きが鈍くなっていると言ったらもちろん嘘になるけれど、それでも彼の瞳を思わせるその色は彼と同じ、綺麗で、その奥にある輝きも全く変わっていないように見えて。


「廊下に、   これが」


ハンカチを開いて、その指輪と切れてしまったチェーンをダンブルドア先生に見せるようにすれば、「  そうか、あやつは落としてしまったのか。」 そう言葉を発してその指輪へと視線を移した。そんな先生のその口調に目を見開いて驚いてしまった。まるで、この指輪が何なのかを知っているかのようなそれに。「・・・先生も、これを知っているんですか?」 思わず口から出たその言葉に、先生は目を細めて優しいその笑みを浮かべながら、私の隣へと腰掛けてきて


「知っておるよ。  学生の頃、シリウスに聞いた事があってな。」


「チェーンが外れやすくなっていたのじゃろう、落ちてしまったのを偶然拾ってな。」 肌身離さず持っているのだと嬉しそうな顔で言われたものじゃ、 笑みを浮かべたままで、先生にそんな事を言われて。先生にそう言われてしまうと、何だか気恥ずかしいような気持ちに駆られてしまって。けれどリーマスにそう言われた時のように恥ずかしいと思うよりも、感じるそれは



私の中でこみ上げてきて、溢れ出てきて。



「    これを、俺に?」
「ええ、何だか貴方の瞳の色に似ていたから、つい。」
「  もらって、良いのか?」
「貴方の為に買ってきたのよ?あ、無理に貰わなくても、」
「貰うっ!!」
「ふふ、気に入ってもらえて良かったわ。」
「   、」
「うん?」
「ありがと、な!!俺、ずっと手放さないからっ。」
「   ええ、ありがとう、シリウス。」



「あやつが落としてしまったと気付いた時には大慌てするじゃろうな。」
「ふふ、そうですね。」


嬉しさで顔が揺るむそれを抑えきれなくて笑みを浮かべて先生にそう返答すれば、頭を優しく撫でられて。先程、散々流したはずなのに、安堵感と共にあふれ出してくるそれを、どうにも止める事ができなかった。早く逢いたいと、心で、身体で叫んでも事態は変わらないのだけれど、それでもその声を抑える事もできなくて。


「(    かけがえのない人だから、)」


どうしよもなく、愛してしまっている人だから、


「会った時に、あやつの元に返してやらんとな?」
「  っ、   はい、もちろんです。」



二度と失わないと、自分の心に誓うのだ。

To you

その心地よさを感じることが当たり前だった日常を取り戻すために、