あれから数日、回復したと判断をしてくれたマダムから「もう無理をするのは駄目ですよ!」 なんてお叱りと共に許可をもらい、ようやく医務室から出る事ができた、そんな今日は、ハリーが言っていたグリフィンドールとレイブンクローの試合がある日だった。

朝食を取ろうと少し遅くいけば、そこにはハリーに贈られたファイアボルトを一目見ようと集まる生徒達が大勢いた。試合前に声をかけようと思ったのだけれどこの様子だと無理だろうか、なんて考えながらも彼らの方へと一応近づいてみればフレッドにジョージが私に気付いてくれたようで、視線が合った瞬間、こちらへと駆け寄ってきてくれた。


!元気になったのかい!?」
「ええ、おかげさまで。フレッドもジョージもお見舞いありがとう。」
が治ってくれたのなら何よりだ!それで、今日の試合は見に来てくれるのかい?」
「ええ、もちろんよ。2人とも頑張ってね?」
「「姫君の仰せの通りに。」」
「ふふ、2人ったら。」


彼らの言い方に思わず笑みを浮かべていれば、「ッ!!」 と私の名前を呼ぶ声が奥からしてくる。誰だろうと声のする方へと視線を移せば、驚いているハリーの姿が目に入った。私から行くつもりだったのに最初に見つけてくれたのはハリーの方だったらしく、笑みを浮かべてハリーに手を振れば、こちらへと駆け寄ってきてくれた。


「もう医務室から出て来ても大丈夫なの!?」
「ええ、試合に間に合って良かった。応援しているから、頑張ってきてね?」
「っ、うん!!」



**



それからお昼前、ハリー達をロッカールームへと送り出して私は観客席の方へと向かった。グリフィンドールの席へと歩を進めていたのだけれど、途中でリーマスを見つけたから一緒に見る事にした。ダンブルドア先生のことだから、2度も吸魂鬼をここへ入らせるようなことはしないだろうけれど、万が一のことを考えると不安が残ってしまう。


「ハリー、大丈夫かしら。」
「とりあえず、はね。守護霊の呪文を教えているから、彼ならきっと大丈夫だよ。」
「守護霊の呪文を?」
「ああ、少し小さいけれど、それでも守護霊を呼び出すことができた。」
「そう、ハリーが守護霊を。」


やはり彼らの血を引いているらしい、改めてそんな事を思いながら思わず笑みを浮かべた。一人前の魔法使いでも難しいと言われる魔法を、ハリーはこの歳で。ジェームズにリリーはそれを上から見ていて喜んでいるのだろうか、   彼が、これを聞いたら


、始まったよ。」
「   ええ、応援しないと。」


ホイッスルの音が鳴り響いて選手達が一気に加速していく、実況している通り、ハリーの乗ったファイアボルトはやはり普通の箒とは比べものにならないくらいにそのスピードを上げていた。それからグリフィンドールの点数が着実に入っていく。80−30、差を詰められてしまったけれど、ハリーがここでスニッチを捕まえれば、まだグリフィンドールの勝ちになる。

頑張って、ハリー、 心の中でそう言葉をかけていると、ハリーは降下していた箒を上昇方向へと転換させた。相手のシーカーを欺くためだったようで、急上昇したハリーの先には金色の小さなそれが私の目にもはっきりと映った。けれど、ハリーはスニッチから一度視線を外した。何だろうと思ってその先を見ようとすれば、ハリーの方から聞こえてきた、その呪文。


「エクスペクト・パトローナム!守護霊よ、来たれ!!」


形は完全とは言えなかったけれど、その白銀色のものは間違いなく守護霊の色そのものだった。そして不完全ながらもその守護霊の形は、


「っ、  牡鹿?」
、どうやら吸魂鬼ではないようだよ。」


ハリーの守護霊も気になったが、とっさに杖を持っていたのだろう、そんなリーマスの声にふと我に返る。リーマスの視線の方向に目を向けるとスリザリンの彼らが、黒いローブを着てそこでもがいているのが目に入った。なんてひどい悪戯を、そんな事を思っているとリーマスが私の名前を呼びながらハリーの方へと目を向けていた。「お祝いを言ってあげないとね。」 なんて言いながら、ピッチへと降りていく。私もそれに続いて行くと、ハリーが私の方に気付いてくれた。


っ!!」
「ハリー、ちゃんと見ていたわ。守護霊も、もちろん、スニッチを取るところも。凄いわ、ハリー。」
「え、えと、その・・・あ、ありがとう!!」


照れながら言うハリーに思わず笑みを浮かべてしまう。まったく、この子は本当に彼らにそっくりね。もしかしたら、貴方よりも凄いシーカーになるかも知れないわよ。そんな事を上で見守ってくれているだろう2人に声をかけた。そうかもしれないね、でも僕の方がまだ凄いさ!なんて答えてくれたような、そんな風が競技場に緩やかに吹いてきた。



**



それからは、まるで優勝したかのような祝杯がグリフィンドールの談話室で開かれた。フレッドとジョージが彼らからの贈り物を使ったらしく、彼らの腕にはお菓子やらビール瓶やらと腕一杯に持ってきていた。彼らからお裾分けをしてもらい、私も今日の勝利を祝うようにしてハリーに再度おめでとうと言葉をかける。

それからハリーと会話をして、今度はオリバーと話していれば、「!俺達は褒めてくれないのかい?」 なんてフレッドとジョージの声と共に本人達もこちらへと駆け寄ってくるものだから、思わず笑ってしまう。その祝宴はそれから午前一時くらいになるまで続いた。彼らは試合で疲れていたであろうに、全くとても元気のある子達である。



**



「(ジェームズ、リリー、  シリウス、)」


祝宴が終わって寝室へと歩を進めてベッドへと身体を沈み込ませる。今日のハリーの姿を、彼が見たら自分の息子のように大喜びするだろうか、いやするに違いないわね。だって、ハリーは   貴方の息子でもあるんですものね。


「(   大丈夫、もう少しだけ、)」


首元にあるそのネックレスを握りしめ目を閉じて眠ろうとした時、いきなりどこからか、大きな叫び声が聞こえた。その声に驚き思わずベッドから飛び上がってしまう。誰かが部屋に入ってきたのだろうか、そんな事を頭に過ぎらせた時、私の頭に瞬時に入ってきたのは、



「っ、  シリウスっ?」



彼の名前が浮かんだ瞬間、もう既に私の足は動き始めていた。

The blinking sign

彼の元へ、早く、 早く、