「 ん、」
「! っ!?」
誰かに背中を押されるようにして、ゆっくりと現実へと引き戻される。ぼやける視界が明確になるにつれ見えてくるリーマスの姿。彼がマダムポンフリーを呼ぶ声を聞きながら、上半身を起こそうと身体を上げようとするのだけれど力がほとんど入らない。起き上がることもできないくらい身体に限界が来ていたのだろうか、再度試しているとそれに気付いたリーマスが私の身体を支えてくれる。
「 ありがとう。」
「どういたしまして。」
するとマダムポンフリーが足早にやってきて、病状と今後のケアのことについて捲し立てるように言葉を放ってくる。どうやら、私は過労で倒れたらしいようで。「まったく、あまり無理をするのではありません。」 と最後にそう言って先生はそのままベッドを後にした。けれど、私には 彼にはもう時間が残されていないことを思えば思うほど、何もできていない自分に悔しさが、焦りが生じてくる。
「、今は身体を休める時だよ。」
「 でも、」
「シリウスの事は分かるけど、このままだと君の方に早く限界が来てしまう。」
「お願いだから、今は休んで。」 そっと私の手に自分の手を重ねてくるリーマスは本当に切実そうに私の目を見てそう言葉を零す。それからリーマスから3日間も眠り続けたままだったことを聞かされた。そんなに寝ていた記憶は当然のようになかったのだけれど、今になって漸く感じている身体の痛みがそれを教えてくれる けれど、
この痛みは彼のそれに比べたら、きっと
「ゆっくり、なんて言わないけど、少なくとも今は休む時だよ。」
背中にリーマスの手が回って上半身をゆっくりとベッドへと押し戻される。身体に力が入らない私はそのままベッド寝かされる、それが自分の無力さを思い知らされているようで。彼にはもうとっくに限界が来ているであろうに何もできないまま、彼を捜す出すことは疎か、自分が先に倒れてしまうなんて。
「 リーマス、 私、」
気付いた時には頬へと伝う何かがシーツへと染み込んでいっていた。
「違うよ。君はシリウスのために色んな事をやって来ている、今も昔も。」
「でも、結局彼を助け出す事は今もできていないのよ?」
「確かに、シリウスは君の側にはいない。 でもね、」
「確実に、シリウスの元へと近づいているだろう?」
頭を優しく撫でられながら、リーマスの言葉をしっかりと受け止める。今までやってきた事が無意味ではなかったのだと、思う事の出来るその言葉。彼の声だけでなく、姿も何も触れる事も見る事もまったく出来なかった昔とは違って、今は見る事もできた。 そして何より、
彼の光が、今までよりもずっと近くで燦めいているのを感じる事ができる。
「 手繰り寄せる事すら、」
「そうだよ。途切れていたりするけれど、その糸を見つける事ができたんだ。」
世界は否応なしに回っていて、人が行動する限り結果は方向がどうであれ嫌にでも付いてくる。彼のことだってそうなのだ。彼が無実の罪を被せられたその時から、私は彼を助けるために行動を、 足掻いて足掻いて、その糸を掴もうと、幾度と無く手を伸ばしたのだ。例えそれが空振りに終わってしまうとしても、
「大丈夫、ならきっと彼に繋がるそれを見つける事が出来る。」
視界が狭まっていく中、そう言ってくれるリーマスの手がゆっくりと私の手を先程よりも少し強く握るのが分かる。安堵感にも似たそれは、私の背中を押してくれた気がしたのだ。大丈夫、もう彼を シリウスを