「どうして、シリウスなの?」
グリフィンドールの談話室へ入ると、もう既に涙を流していた。自分でも気付かないうちにそれは流れていたらしく、涙を拭いても溢れ出てくるそれに、「どうしてかしら、止まらないの。」 と彼女は無理に笑った。そんな彼女を見ていられなくて、思わず抱きしめた。
「ハリーにね、現実が伝わっちゃったの。シリウスが、ジェームズ達を裏切ったって。」
の背中をさすりながら、紡いでいる言葉に耳を傾ける。「ハリー達も彼がジェームズ達を裏切ったって思っているわ。」 ゆっくりと話すその声はあまりにも、
「シリウスは、 彼は、」
僕の腕の中で弱々しく、そう呟く彼女。起きてしまったことを悔いても仕方のないこなんて、きっと彼女が一番分かっている。
現実を認めて、それからシリウスのために出来ることを悩んで、探して、やっと見つけたこの方法。
けれど、見つけたそれは辛く、悲しい道だった。
「何で、 どうして、 」
「、」
「彼がそんなことをするはずがないのに。」
悲痛なその声、彼にはこの声が聞こえているのだろうか。いや、彼もきっと同じように感じているのだろう。がこうして彼のために苦しんでいるように、シリウスもきっと彼女のために、
早まってはいけない、かといって遅すぎてもいけない。その境界線を彼女はずっと綱渡りをしている。
彼を助ける事の出来る最良の方法を神経をすり減らして見極める。それを見つけて即座に掴むのではなくて、シリウスがもうこれ以上苦しまないような方法であるかを同時に考えて、
けれど彼らの選んだ物は茨が絡まるように道に生え、どれだけ気をつけても少なからず苦しめてしまう事になってしまっている道だった。
それが彼らをさらに苦しめているのだろう、お互いがお互いを優先する彼らだから。
やっとシリウスの手がかりを見つけて距離が近づいたというのに、あと一歩のところですれ違う。
目の前の現実が真実とひどくかけ離れている所為で、彼らはこんなにも、
「 何で、 彼が・・・・っ!」