翌日、いつものように目が覚めた。けれどいつものようには寝付けず、結局数時間しか眠れていない、眠れなかった。重力なんていつもなら感じないのに今日はやけに重さが体全体にのし掛かってくるようだった。昨日のハリーの言った言葉がぐるぐると回り続けて、頭の中に、目の前に、暗い闇を作っていくようだった。彼からもらったリングだけが変わらない光を放っていた。


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朝食を取る気にはなれず、部屋で過ごして昼食の時間くらいに談話室へと降りていく。するとそこにはハリー達がいた。


「おはよ・・・」
「ブラックのために死ぬ価値なんて、ないぜ。」


「っ!」


ブラック、その言葉を聞いた途端、彼らのもとへと行こうとした足が歩むのを止めた。どうやら昨日の続きの話をしているのだろうか、盗み聞きは良くないと承知の上で階段の壁に寄りかかりひっそりと彼らの会話を聞く。


「でも、あいつは父さん達を裏切ったんだぞ!!」


「友達だった、父さん達をっ!」 憎しみの込められた声でそう叫ぶハリー。ハリーも寝付けなかったのだろう、顔にはうっすらと隈が見えていた。そんなハリーを気遣うように、引き止めるようにロンとハーマイオニーが言葉を発している。


「野放しになんてできないよ!」
「ブラックはアズカバンに入れられて当然のことをしたわ。でも!それはあなたがすることじゃないわ!!お願いだから危険を冒さないで!」
「そうだよ、ハリー。頼むから落ち着いてくれ。」


それからの彼らの会話を覚えてはいなかった。通り抜けるだけの声で、頭の中は現実だけが歩き回っていた。


彼が、ジェームズ達を殺した。ヴォルデモート卿の仲間で、アズカバンに収監されて当然の人。

シリウスが、ジェームズ達を裏切った。



「ブラックのせいで、僕は両親と一度も話したことがないんだから。」


ハリーの最後の一言がやけに脳裏に焼き付いた。



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それから彼らはハグリッドの所へと透明マントを使って行ったようだった。彼らが行くのを確認して階段をゆっくりと下りていく。すると、談話室に誰かがゆっくりと入ってきた。


「やあ、。やっぱりここに・・・・?」
「リー、マス。」


「どうして、泣いているの。」 そんなリーマスの声、どうやら私は涙を流しているようだった。どうとも説明できない感情がさまよい歩いていた。拭いても溢れ出てくるそれは彼への愛しさと同じようだった。彼からの愛なら、受け止められるはずなのに。


「どうしてかしら、止まらないの。」 
「っ、。」


駆け寄ってきたリーマスは構わず私を抱きしめた。「リーマス、どうしたの?」 そう尋ねるけれど、彼は私の背中をさすってくれるだけで何も言わなかった。そんなリーマスの優しさが心から伝わってくるようで、気付いた時には言葉を紡ぎ出していた。


「ハリーにね、現実が伝わっちゃったの。シリウスが、ジェームズ達を裏切ったって。」
「うん。」
「ハリー達も彼がジェームズ達を裏切ったって思っているわ。」
「、うん。」


自分でそれを言っているだけで心が押しつぶされそうだった。    何で、


「どうして、シリウスなの?」
「っ、」
「ずっと虚実を押しつけられて、孤独で、ずっと」


起きてしまっていることを悔いても仕方のないことなんて、頭では分かっているつもりだった。現実を認めて、それから出来ることを探さないといけないことだって理解しているつもりだった。


「何で、どうして、  シリウスなの、」
、」
「彼がそんなことをするはずがないのに。」


素直で、純粋で、感情を表に出しやすい人だった。いつも私に愛していると言ってくれた。彼の声を側で聞くだけで、彼が側にいて笑っていてくれるだけで、



「 何で、 彼が・・・・っ!」

Overflow feeling, tears and...

その輝いた笑顔で、私の側で、愛していると、