あれから体を休めて回復した私は、お礼を言うためにリーマスの部屋に行った。リーマスはいつもよりも辛そうな顔をしていた。今週に満月になる日があったことを思い出す。あまり無理をしないでね、そう言うと、「君もだよ。無理なんかされたら僕がシリウスに怒られちゃうじゃないか。」 なんて言い返されてしまった。


「だから今日の授業はセブルスに任せる事にしたよ。」
「・・・・そうなの。」
「あれ、あんまり嬉しくない様子だけど。」


確かにセブルスの授業は分かりやすいし、学生時代もたまに図書館で話をしていた友人だった。けれど、最近のセブルスを見ているとどうにもハリーやその友人達(特にグリフィンドールの、)に憂さ晴らしをしているようにしか見えないのだ。


「セブルスの気持ちも分からなくはないけど・・・」


理由がどうであれ、、あれは明らかにグリフィンドールを下に見ている。それはセブルスに限った事ではないのだけれど。 スリザリンのあり方を否定する気はないし(グリフィンドールの生徒だって、スリザリンを悪く言っているのは確かだ。)彼らがセブルスにしていた事は当然褒められたものではないけれど、友人を悪く言われることも、もちろん気分の良いものではない。

彼の事だけを考えて、これ以上大事を起こさないように必死に耐えて授業を受けてきたが、リーマスが持っている授業にセブルスが代わりに出るとなると、何を言うか分かったものではない。それが不安で仕方がなかったのだ。


「僕はがそう言ってくれるだけで嬉しいよ。」
「・・・ありがとう。」
「お礼を言うのは僕の方だよ。でも、あまり無理はしないでね?僕がシリウスに怒られてしまう。」


頭を撫でられながら、「同じような事を以前にも言われた気がするのだけど、ルーピン先生?」 と冗談めいたように言葉を発すると、「君は一度では聞かない子だからね、くん。特にシリウスの事となると。」 と反論できない言葉を返されてしまった。


「じゃあ、そろそろ行くね。辛いのなら言ってね?和らげる薬なら、持ってるから。」
「うん、ありがとう。行ってらっしゃい。」
「あ、部屋まで運んでくれてありがとう。  何だか、最近リーマスに迷惑かけてばかりね・・・」
「気にする事はないよ。友人が困っている時に助けるのは当然、なんだろう?」


君たちが僕に教えてくれた事だよ。  そう言ったリーマスの顔を見ると、心が軽くなった気がした。(本当にリーマスには敵わない。)




ハリー達と合流して、教室へ向かう。席に座って待っていると、そこに現れたのはリーマスの言っていたように、セブルスだった。生徒がリーマスではなくセブルスが入ってきた事に驚いて口々に話し始める。セブルスは構わず話し始めた。


「今日は人狼についてだ。」
「・・・・・・人狼?」


その言葉を聞いた瞬間、手に力が入る。セブルスがまだ何か言い続けているけれど、頭の中に言葉が入ってくるのを拒否している。何も聞こえなかった。  目の前で友人の苦しんでいる病気の事をそしてその友人の受け持っている授業で無断でその事について学ばせようとするなんて、


リーマスに無理はするなと言われていたから、皆の前で立って反論はしなかったものの、あれはさすがに言い過ぎな気がした。あからさまにリーマスを卑下しているのが分かる。その言葉にはさすがに何もしないわけにはいかなかった。リーマスのためにも、ここにいない彼のためにも。


「スネイプ先生、」
「・・・・・何かな、Miss.、」


授業が終わって生徒が出ていってからセブルスに話しかけた。以前話しかけた時よりもずいぶんと警戒心を強めているようだった。きっと私の存在に疑問を持ち始めているのだろう。


「人狼を殺すんですか。」
「・・・・何を言っているのだ。」
「彼を死なせはしないわ。私達の友人なのよ?」
「・・・・・知っているのか?」


その問に答えてしまえば、私の正体がセブルスにばれてしまう。いやもうばれているのだろう。けれどそれが確証へと変わってしまうと思ったから踵を返して、以前のように顔だけをセブルスの方へ向けた。


「私の事をどう言っても構わない、  けど、」


彼がいたら、こう言ったであろう言葉を


「私達の大切な人の事を悪く言うのは、たとえ誰であっても許さない。」

If he were here,

彼だったら、きっと・・・