医務室に、静かな呼吸音が響く。ようやく落ち着いたがベッドに横たわって寝ていた。その側にはリーマスがつきっきりで様子を見ていた。すると、医務室のドアの開く音がする。


「、 ダンブルドア先生。」
「大丈夫じゃ、リーマス。は安定しておる。」


ダンブルドアはの側へ行き、そっと額に手を当てる。頬には涙の流れた跡が出来ていた。ダンブルドアがから手を離した後、リーマスは先程から頭の中を埋め尽くしている疑問を投げかけた。


「先生、彼女は一体何者なのですか?シリウスのことも知っていました・・・それに、」
「それに、  何じゃ?」


「・・・・それに、とても懐かしく感じるんです。会って間もないはずなのに。」


何故、でしょうね。 とダンブルドアに尋ねているはずなのに、目線はに向いたままだった。ダンブルドアは 「セブルスも、同じ事を言っておったよ。」 と返答する。その答えにやっぱり、この子は・・・ と言う考えがまた頭の中に浮上してきた。 しかし、やはりダンブルドアは昔の時と同じように 「・・・わしからは言うことは出来ない。」 とリーマスが欲しい答えをくれなかった。


「本人に聞くと良い。わしが良いと言ったと言えば、教えてくれるだろう。」


ダンブルドアはそう言って、の頭をもう一度優しく撫でて医務室を出て行った。その場に残っているリーマスは、このままが起きるまで側にいようと決める。事の真相も気になるが、何故かが心配でたまらないのだ。


「し、りうす。」


そうやって悲しそうにシリウスの名前を呼ぶ。寝ているはずなのに、その声はとても通っている。リーマスはそれを見ているだけ、見ていることしかできなかった。 






「ん、」


夕方になってようやくの目が覚める。視界がぼやけている中、横を見るとリーマスらしき人が映る。「大丈夫?」 と言ってくる声を聞いて、リーマスだとようやく分かった。


「リー、マス、」


上半身をゆっくりと起こして、窓の外を見る。 考えれば考えるほど、頭の中には先程のことばかりがぐるぐると回っている。の頬から一筋の波が零れた。




そんなことあるはずがないのに  ― あってはならないのに




「彼は、今ではないの。」



そう、シリウスは、  今、死ぬべき人ではない。



「たとえ、この身が命の危険に晒されようとも、」




牢獄の中でひどく苦しんでいた彼を、誰もが当たり前だと思っている。


運命は時に残酷、と言うけれど、私は人間だ。

自分の愛する人が、無実の罪で苦しんでいるのを運命だなんて諦められるはずがない。





シリウスを、絶対死なせはしない。





「私は、彼を救いたい     救ってみせる 」

The fate and the time

こんな無慈悲な虚実で、彼を死なせたりはしない。