「っ?! し、りうす?」
僕は混乱のあまり、体が硬直してしまった。色々な思考が頭の中を駆けめぐる。彼女は僕の名前を呼んだ。そしてシリウスまでも名前で呼んでいる。そしてなによりそこにいるシリウスが彼女に向かって愛おしそうに微笑んでいる。
あんな嬉しそうなシリウスの顔、に見せていた時以外、見たことがない。
そのシリウスは彼女の方に近づいて、「、」 そう呼びながら彼女の頬に手を伸ばす。
けれど彼女に触れたシリウスの手は 赤く染まっていた。
「 え? 」
シリウスはその場に血まみれになっている心臓の辺りをおさえて倒れ込んだ。
彼女がシリウスの名前を呼んで駆け寄ってシリウスの体に触れようとすると、
シリウスはまるで死んだかのように消えていった。
「シリウス? ・・・・き、えた? 」
いや、と彼女の悲痛の声がする。もう、それは絶望以外の何物でもない声であるかのように。
「いやっ! シリウス!!」
彼女のその声にはっと目が覚める。パニックを起こしている彼女に近づいて、落ち着かせようと名前を呼ぶけれど、それは何の効果もなくて彼女は混乱していくばかりだった。泣き叫んで、「シリウス、シリウスっ!!」 とシリウスがいた場所に手をつく。「私の前から、 この世界から、いなくならないでっ 」 と声にならない声で叫ぶと彼女はその場に倒れてしまった。
「っ!!」
僕は慌ててしゃがみこみを抱える。気絶しているだけのようだが、あれだけのショックを受けていたから何があるか分からない。すぐさま授業を終了し、彼女を抱きかかえたままひたすらに医務室へ走った。
その間にもやはり彼女とシリウスの関係を考えてしまう。
名前も一緒で、学生時代のにそっくりな彼女。 そしてシリウスをあれだけ想っていること。非現実的なのは分かってはいるが、僕たちの知っている と 今僕が抱きかかえている は何か関連があるのじゃないかと思ってしまう。それどころか、彼女がじゃないかとさえ思ってしまう。 ― 君は、
「君が、 あのなのかい? 」