「彼女の名前は。理由あってこの学校に来ることになった。1年間だけの留学生じゃが、よろしくしてやっておくれ。」





始業式で転校生の名前を聞いた時、一瞬彼女の顔が頭を過ぎった。シリウスと楽しそうに笑っている彼女が。そんなことがあるはずがない。だって彼女はシリウスが捕まってから一度も姿を見せてくれなかったし、それに彼女は僕たちと同い年だ。 


  ― そう、シリウスがアズカバンに送られてからは一度も


それを新聞で見た時、何かの間違いだと思った。あのシリウスが親友を裏切ってまでヴォルデモートに跪くなんて信じられないし、僕の知っているシリウスならそんなことは絶対にあり得ない。シリウスが送られてから、僕は何度もあの事件が載っているありとあらゆる新聞を読みあさった。何か、どこかで歯車が食い違っているんじゃないかと。

言うまでもなく、も探した。けれど、ダンブルドアに尋ねても 「わしも知らんのじゃ。」 としか言ってくれなかった。何処にいるのかは知っているのだろうけど、おそらくが口止めしているんだろうと思った。昔から彼女はそう言うところがあったから。彼女は人に頼りなさ過ぎる。そしてシリウスが送られたのは自分の所為だと思っているのだろう。もちろん僕はの所為ではないと思っているし、シリウスの所為でもない。

― 歯車を狂わせたのは、おそらく、 



「ルーピン先生じゃ。闇の魔術に対する防衛術を受け持ってもらうことになっておる。」


紹介されて一礼して席に座る。生徒達が見ている中、彼女が僕を見て微笑んでいる気がした。それから食事の間、その笑顔が気になって何回か彼女を見ていたけれど、彼女の顔はとても固かった。転校初日で緊張しているのかと思ったけれど、それだけではない気がしたんだ。まるで、ひどい悲しみを背負っているようなそれでいて何か重要なことを隠しているような。






数日経って、彼女やハリーのいる3年生の授業になる。少し遅れて入って、みんなに教科書を片付けてもらう。僕は闇の魔術に対する防衛術は教科書を読むだけじゃ駄目だと思って、実地をすることにした。ハリーのことが少し気がかりだったけれど、彼はジェームズやリリーと同じで賢いから、きっとヴォルデモートは出さないと思う。



「この洋箪笥にはね、まね妖怪のボガートが入っているんだ。」


職員室に入ってボガートのことを生徒に問いかけながら説明をして、早速練習に入る。筋が良い子達ばかりで、それぞれが面白可笑しくボガートを変化させていく。そしてハリーの順番が回ってきた。ハリーの名を呼んで、彼をボガートの前に立たせた。


「っ!」


ハリーはヴォルデモートは出さなかったが、吸魂鬼を出してしまった。ハリーは呪文を唱える前に、幸福な感情を吸い取られていく。これではまずいと思い、僕はハリーの前に立って自分の恐怖であろう球体が出てくるのを待つ。


けれど、球体に変化するその前に、


「! リーマス、駄目よ!」


初日からずっと気になっていた彼女、が僕のファーストネームを呼びながら前に出て来た。彼女は杖を構えて僕とハリーの前に立つ。 するとボガートは球体になる前にまた変化し始めた。そこに現れたのは、


「    え?」



そこに現れたのは、紛れもなく僕たちの友人、シリウス・ブラックだった。

The true fear in her eyes

ずっと探していた、友人の姿―