転校から数日後、学校に慣れた、というより感覚が戻ってきたこの日は旧友2人の授業が入っている。
彼らはあれから変わったのだろうか、そのままなのだろうか。 それとも変わってしまったのだろうか。
最初の授業は魔法薬学、セブルスの授業。グリフィンドールを卑下するのは変わらないらしい。
途中でドラコが入ってきた。腕を見るとぐるぐると大げさに包帯が巻かれてある。私が見た限りそんなに大した怪我じゃ無かった気がするのだけれど、あれを盾に何かをするのだろうか。スリザリンのすることは分からない。もちろんそんな人ばかりではないと分かってはいるけれど。
「あの、、隣良いかな?」
「ん?あぁ、どうぞ、Mr.マルフォイ 」
ノートに適当に要所だけを書き取っていると、ドラコに声をかけられたので少し体を動かして隣を空ける。
「腕、まだ痛いの?」 と、聞くと少しバツの悪そうに「う、うん。」 と言った。
「スネイプ先生。」
「・・・何だ、Miss. 」
「Mr.マルフォイの腕では材料を切れません。手伝っても宜しいでしょうか。」
「・・・・・良いだろう。」
「ありがとうございます。」
セブルスの許可を得て、縮み薬の材料を切っていく。
幸い、私は魔法薬学は比較的得意だった方なので、すぐに終えることが出来た。
「、ありがとう。」
「どういたしまして。」
それっきりドラコとは話さなかったけれど、ハリーをまたからかっている。
ハグリッドの話らしい、きっとひどく落ち込んでいるのだろう。その話を聞きながらネビル、という生徒が怒られているのを聞く。ハーマイオニーが手伝うと言っているのにセブルスはそれを拒んだ。セブルスはいつまで経ってもセブルスらしい。少し、ひねくれが増した気がするかな。
「シリウス・ブラックが目撃されたって話、聞いたか?」
ハリーの友人がそう言ってハリーに話しかける。私は思わず身を固くした。
日刊予言者新聞は私も毎朝確認している。 ここからあまり遠くないところに、彼がいる。
やはり彼はハリーを守ろうとしているらしい。それがどういう理由なのか、未だ分からないけれどそうまでして
ハリーを守る理由があるのなら、きっとホグワーツに乗り込んでくるはずだ。
余り無理はして欲しくないのに、と思いながら彼の無事をただ祈るばかりだ。
そんなことしか出来ない自分に悔しさが募る。 と、横からまた話し声が聞こえた。
「ポッターはブラックを捕まえようと思っているのか?」
「ああ、そうだ。」
ハリーさえもそんなことを言っている。ハリーが世に出回っている虚実をしったら怒り狂うのだろう。
けれど、私はそれが虚実だという事を教えられない。彼がハリーに勘違いだけれど恨まれてしまう。 そんな彼が悲しむような事、あってはならないのに。
何も出来ない自分に、憤りを感じる。 とても悔しくて、彼は無実だと叫びたくなる。
でもそれは許されないことであって、下唇を思いっきり噛み締めて堪える。
「っ!、唇から血が出てる!」
「え?」
慌てているハリーに言われて唇に手を当ててみると確かに赤い液体が指に付いた、
それに口の中に鉄の味が広がっている。 そんなに強く噛んでいたのだろうか。
「、これ使って?」
ハリーはそう言って自分のハンカチを差し出してくれる。血が付いてしまうからと遠慮すると、
構わないと言って、私にハンカチを手渡してくれた。
「ありがとう、ハリー。」
ハリーの優しさがとても嬉しくて微笑んでお礼を言った。ハリーは照れながらどういたしまして、と言ってくれる。
隣に座っているドラコは何故かハリーを羨ましそうに、妬ましそうに見ていた。
と、セブルスが皆を1つのテーブルに集めてネビルの縮み薬を使って実験をした。
それは見事に成功して、グリフィンドールの生徒は拍手喝采だった。
「Miss.グレンジャー、手伝うなと言ったはずだ。」
「・・・・」
「グリフィンドール5点減点。・・・・しかし、Miss.はMr.マルフォイの縮み薬と己の薬を両方成功させた。 よって、グリフィンドールに5点プラス。」
その言葉に皆は騒ぎ出した。 どうやら、セブルスが点数を上げるなんて事は前代未聞らしい。
セブルスは吐き捨てるように解散を告げる。生徒達は騒いだまま、地下牢教室から出て行く。
私はハリー達に先に行っていてと伝えて少しだけ、セブルスと話をしようと声をかけた。
「スネイプ先生。」
「・・・何だね、Miss.」
鬱陶しそうに私の声に反応する。私はそれを気にせずにセブルスに向かって言った。
「やっぱり、あなたは彼が捕まって嬉しいと思っているの?」
「? 何の事だ。」
「彼は無実なのよ。彼が親友を殺すなんてことするはずがないって貴方なら分かるでしょう?」
「お前は・・・・」
セブルスが近づこうとしたので、私は踵を返して首だけをセブルスに向けた。
「世の中は、おかしいことだらけね。 ―セブルス。」