「泣かないって決めたのに、な。」
涙をなんとか止める事ができたのだけれど、、目が赤くなってしまった。
また泣いてしまった。
彼のことを考えるとどうしても気持ちが弱ってしまう。
赤くなった目を洗っていると、ドアをノックする音がした。
誰だろう、と思い駆け寄ってドアを開けると、そこには誰もいなかった。
「あれ、確かにノックする音が聞こえたんだけどな。」
「やあ、。」
「わ、ハリー?」
何も無いところからすっと出て来たのは、、ハリーであった。
思わずびっくりしてしまったけれど、透明マントを使ってここに来たのだとすぐに理解する。
こんな時間に立ち話をさせる訳にもいかないから、部屋に入ってもらって、ココアを差し出す。
「どうしたの、わざわざ私の部屋に。」
「あ、うん、・・・えーと、ね。」
私を訪れた理由を聞けば、何だかとても言いづらそうに言葉を濁した。顔も私の方ではなく、マグカップの中のココアの揺れを見ている。
けれど無理に聞き出すつもりもないので、私はハリーが言い出すのを待つことにした。
数分間の沈黙の後、ハリーが意を決したかのように私の方を見て名前を呼んで。
「あのね、、」
「うん、何?ハリー?」
なるべく、穏やかな声で話そうとする。ジェームズもこうしたら話してくれたから。
「、何か辛いことがあったの?」
「 え? 」
「あ、違うんだったら良いんだ。でも大広間から帰った時、何だか辛そうな顔をしてたから。」
そう言ってハリーはまた目線を下に落とした。ハリーの気遣いに嬉しさがこみ上げてくる。
まだ会って間もないというのに、何でこの子はこんなにも聡いのだろうか。
そういえば、リリーも私が辛そうにしていた時、すぐに気付いてくれていたっけ。
無理矢理ではなく、自然に出た笑顔をハリーに向ける。後ろに見える彼らにも向けるように。
「ううん、何でもないの。心配してくれてありがとう。」
ごめんね、まだ、何も言えなくて。 ごめんね、助けられなくて。
「そう?何かあったら言ってね。僕たち、友達なんだから。」
特質だった私を受け入れてくれた、彼らのようにハリーは笑顔で私を「友達」だと言ってくれる。
その事が本当に嬉しくて、 やっぱり彼らの息子なんだと思うと、また涙が流れそうになる。
「ハリー。」
「ん?」
振り向くとハリーの澄んだ瞳が目にはいる。
こんなにも綺麗な目をした人をこれ以上汚したくはない。
あなたと、彼は私が守ってみせる。 そして、私の大事な友人達も。
「ありがとう。」