「よいか、。辛い時は抱え込まずに、誰かに相談する事じゃ。」
「・・・・」
「お前さんは一人じゃない。わしやミネルバもを心配しておるのじゃよ。」
「先生、」
「  もっと周りを見てみなさい。」


***



自分の部屋に戻りベッドに腰を下ろす。
ダンブルドア先生が気を遣って一人部屋にしてくれたので、ここにいるのは私一人だ。
これはすごく有り難かった。一人では恐怖を気を紛らすことは出来ないかも知れないが、
こうやって一人で考える事が出来る。

それに

「やっぱ、先生には敵わないな。」


先生には見抜かれていた。紅茶を飲みに行ったのは口実で、「彼は無事なのか」と先生に聞いたところでどうすることも出来ない問いを聞きたかったことを。
本当は今すぐにでも彼を、見つけ出して彼の声を、身体を、すべてを確認したかった。

けれど、それは非常に危険な事であって。私は構わないと言ったのだけれど、
先生は「それではわしがシリウスに怒られてしまう。」と言った。
最初は意味が分からなかった。何故、そこで彼の名前が出てくるのかが。


「シリウスにアズカバンへ行く前、 『を守ってください。』 と言われたからじゃ。」


「お前の恋人からの、大事な生徒からの言葉じゃ。破るわけにはいかないんじゃよ。」

「まあ、シリウスに言われんでもわしはを守るがの?」 そう先生に微笑んで言われた時、
私の視界はほとんどぼやけていた。


彼の身を助けられなかった自分の愚かさを悔いたのもあったけれど、

彼が、

彼が、自分の心配よりも私の身を案じてくれたことにどうしようもない嬉しさを感じたのだ。



「何で、自分の身を心配しないかな。」


ベッドの上で、いない相手に話しかけるような声音で言葉を発す。


「貴方のほうが、危険だって十分分かってるでしょうに。」


考えたくもないけれど、もしかしたら貴方の身が、心が、死、に追いやられるかも知れないのに、


「なんで、私なんかの、心配をしているの。」


 ああ、駄目だ。もう、涙は流さないと決めたのに、  
私の意志には関係なく目から溢れて頬を伝って、シーツの染みは大きく広がってしまう。


その涙を、見えない相手から隠すように手で覆い、話を切り替えた。

それに、   こうして、誰にも涙を見せずに済む。

「今日、本当に久しぶりにね、私達の親友の息子に会ったのよ。」


貴方と私が名付けた子。  私達が会いに行っていた時はあんなに小さかったのにね


「一目で分かったの。  本当に両親によく似てるから、 ほんとうに。」



「ハリーの笑顔を見た時ね、  泣きそうになった」

2人の息子は立派に成長しているって、伝えたくなったの。

そうしたら、2人の顔がハリーの後ろに見えて、

リリーとジェームズが、嬉しそうに笑ってるような気がしたの。





「どこで、 どう、 おかしくなっちゃったのかな。」

止めどなく流れていく、拭っても拭っても止まることは無かった。

私達は何か、間違った運命を辿ってしまったの?



「早く、会いたいよ。  シリウスっ、」



疑問が頭の中でいっぱいになっている中でそれだけが、唯一の自分の意志だった。

The selected destiny

彼の名前を口にするだけで、