「うっひょー!っ、これうめェっ!!」
「 そう言ってもらえると、俺も嬉しいよ。」

燦々とこの家を照らしていた太陽も、今ではもう姿が見えない時間帯へと移り変わっていた。けれど、今日この島へとやってきた彼らは、昼の賑やかさを依然として保ったまま、いやむしろ、昼よりも騒々しいくらいに、その賑やかさで家の中をいっぱいにしていた。そして、楽しそうに宴を開く彼らとは対照的に、ここの家主はそんな賑やかさに、自分の中に芽生え始めているそれに、酒よりも酔っているようで。




「ほんと美味しいわ。これ、が全部作ったの?」
「ああ、今日は君たちの優秀な料理人に手伝ってもらったが。さっきは助かったよ、ありがとう。」
「なに、礼を言われる程の事はしてねェよ。」


テーブルの上へと、少し人数が多いものの、料理をいつも一人でしているように普通に置いただけであるのに、いつの間にか始まった夕食という名の宴会騒ぎ。この人数だからなのか、彼らが海賊だからなのか、それとも彼らであるからなのか、久しぶりに感じる賑やかさに、何故か居心地良さを感じていたは、けれどやはりそれは彼らに気づかれることなく、自分のペースでゆるゆるとコップに注いでいた酒を飲んでいた。


「ああ、そういえば、本を見て何か分からない事はあったか?」
「んーん!あの本見たらだいたい分かったから大丈夫よ。まあ、何だかんだ悩んだって仕方ないしね。」
「ふふ、私からも質問はないかしら。」


「ま、良いわよ。航路が変わったって、目指すものは変わらないし。」夕食前の事を思い出して、はナミやロビンへと言葉を投げかけたのだけれど、彼女たちから返ってきたのはそんな意外な言葉だった。聞こえてきたその声に、思わず目を見開いて顔へとその驚きを表してしまいながら、けれどそのままゆるりと笑みへと顔を変えて、「 君達は、面白いね。」なんてが彼女たちに返事をしていれば、


「あーっ!!!」
「な、何よルフィ!いきなり大声出さないで!」
「ナミっ、ロビン!!2人でに何言ったんだよっ!?」
「・・・はァ?」


つい先程まで、ばくばくとテーブルに並べられた料理を会話に構わず食べていたはずのルフィから、皆がそちらを向いてしまうくらいの大きな声が部屋中に響いてきて。その大きさのあまり、動かしていた手をついビクッとさせてしまいながらナミが何とかその声へと反応すれば、放たれた言葉はどうやら自分たちへと宛てられたものだったらしい。けれど聞こえてきた言葉は、理解し難いものであったから、思わずおかしな声を発してしまって。そんな声に、自分の言葉を理解してもらえていないルフィは、しかしそのまま言葉を続けて、


「今、が笑ったじゃねェか!!」


「何言ったんだよ、ナミ!ロビン!!」 「知らないわよ!というか、何であんたは一番離れてるのにそんなとこ見てんのよ!?」 話に上っている本人を余所に何やら言い合いが始まってしまいながらも、その当人であるは全くそれを止める気がないようで。・・・いや、正確には止める事ができなかったというべきか。自分の口元を手で覆いながら、はひどく自分に困惑しているような顔を見せていて、


「・・・(俺が、 笑った、のか?  人に分かるくらいに?)」


自分の顔に、あまり表情が出ないという事を自覚しているにとって、ルフィから放たれたその言葉はひどく驚くものだったらしく。結構な日数をかけて仲良くなった人達に対してなら、表情に出さなくても気づいてくれるし、表情に出てくることもたまにあったりしたけれど、・・・親しくなった人にだって、“たまに”の頻度であるというのに、  会って数日も、いや1日も経っていない彼らの前で、 


「(・・・何故だろう?)」


自問するように呟いたは、「なァ!!!一体何言われたんだっ?」 と訊いているルフィにも、同じような言葉を紡ぐ事しかできなかった。

08. 零れたる砂の

今はまだ、その感情を拾う事すら、受け入れる事すら戸惑っていて

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title by 鴉の鉤爪 / 零れたる砂の(ざっくばらんで雑多なお題(日本語))