「今帰ったぞっ!ほら見ろよこれ!!」
「わっ、何その量。」
「に教えてもらったんだっ!!薬草もほら!」
これでもかと言わんばかりの果実やら薬草やらを両腕いっぱいに抱えて戻ってきた3人に、家で待機していた彼らはその量に驚きつつもその果実に手を伸ばす。ここに来るまでにルフィが食べているのを見ていたとはいえ、どれもこれも見た事のない果実に少々訝しさも感じたが、けれど割れ目から香るその甘酸っぱいような匂いに、嵐に遭遇してしまった彼らの食欲が徐々に増していく。
「 すまない、少し遅くなってしまって、」
「・・・それは、別に構わないけど・・・、何、その汚れは、」
果実に目をやっていれば、ルフィ達の後ろから聞こえてきたの声、に振り返ってみると、そこには誰が見ても分かるくらい盛大に服を土で汚してしまったの姿が彼らの視界に広がってきた。そんな姿を見るとはもちろん思っていなかった彼らは思わずたくさんの果実を見た時よりも目を丸くしてその姿を見てしまう。そんなを見ていると、「にししっ!」なんて笑っている、よく見れば少し服を汚しているルフィの姿も同時に入ってきて、思わずため息をつく。どうやら、彼らはその理由を察したらしい。
「ああ、これはちょっと。 それより、とりあえず夕食にしないか。そろそろお腹も減る頃だろう?」
「おォ!!メシメシっ!!」
「本に書いてあった事の質問なら、夕食をとりながらでも話さないか?」
扉の外で自身に付いた土を払い除きながら、彼らにそう声をかける。そうすれば、それに真っ先に反応したのは彼らの船長であるルフィで。「にく!、肉!」 なんて言ってに詰め寄るルフィを前に苦笑を浮かべながら、は彼らの横を通ってキッチンの方へと向かっていく。
「大したものは作れないが、」
「少し待っていてくれ。」 エプロンを身に纏いながらそう言ってキッチンへと足を向けたに、壁際で煙草を吸っていたサンジが、待ちきれないのか果実を片手に持ったルフィが、それぞれの後を追っていった。
「 手伝うぜ、何かすることあるか?」
「ああ、ありがとう。でも、客人にそんな事をさせるわけには、」
「構わねェよ、俺がしてェんだ。それに、お前の料理の腕がどんなモンか見てみてェし。」
「俺も俺も!!」
「てめェはただつまみ食いがしたいだけだろうがっ!!」
「いてっ!!」
テーブルに先程取ってきたものを、それから冷蔵庫から取り出したものを並べながら後ろから声をかけてくるサンジと会話をする。もう1人の後を追ってきたルフィはといえば、イスへと腰をかけると早速その果実に手を出そうとする。けれどお見通しだったのだろう、サンジがその手を片手で弾かせると、そのままその手はルフィの頭へとさらに勢いづけられて落とされる。その手慣れた様子には苦笑を浮かべながら、まな板、包丁を取り出してリズミカルな音を鳴らしながら具材を切っては鍋へと入れていっていた。
「 で、俺がする事はあるか?」
「じゃあ、 一緒に具材を切ってくれるか? さすがに、この人数分の食材を切った事がなくてね。」
「ハハッ、違ェねェ。」
「まかせろ、俺は人数の多さには慣れてる。」 そう言ったサンジは側にあったまな板、包丁を取り出してこちらも軽快な音を立てながら、ボウルの中にはどんどん切られた具材が積まれていく。自分の方を切り終えたは鍋の方へと向かって、味を付けるために棚の中から取りだした調味料やら香辛料やらと目分量で入れていく。煮込まれていくにつれ、徐々に香りが良くなっていく料理にはゆるりと微笑んだ。ああ、今日も美味しい料理ができそうだ。
「・・・変わったモン入れるんだな。 味見しても構わねェか?」
「ああ、是非頼む。」
「口に合えば、良いのだが。」 そう言って小皿に取ったスープをサンジへと渡す。受け取ったサンジは香りを楽しむように鼻でそれを匂って、それを口に含んで舌に絡ませる。くるくると鍋の中をかき混ぜながらそんなサンジの様子を見ていたの視界に、驚くように、けれど笑みを浮かべたサンジの顔が目に入ってくる。
「 美味ェな、 これ。・・・あの調味料でこんな味になるのか。」
「口に合ったようで良かったよ。」
サンジのそんな言葉には安心したように笑みを見せて。の作る料理にますます興味を持ったサンジは、それから作られていく料理にどんどん惹きつけられていって。レシピを訊ねながら料理の手伝いをするサンジに、それにどことなく楽しそうな笑みを浮かべながらこちらも料理をしつつサンジの質問に答えていく。その笑みも楽しそうかどうかなんて彼を良く知る人しか分からないくらいのそれなのだけれど、イスに座って待ちぼうけをくらっていたルフィには本能的に感じ取ったらしい。自分だけその会話に入っていけないのと、良い匂いがすると言うのにそれを食べる事のできないもどかしさに、彼にも限界が来たらしい。
「っ!!」
「ん??どうし、たっ!!?」
「っおい!!」
ルフィのその声に後ろを振り返った、だったが、突然に走った身体の衝撃に途中で声が上がってしまう。その衝撃を何とか転倒せずに受け止めれば、自分の身体に伝わってきたのは、先程、転んだ時に感じていた、その感覚で。またその感覚が伝わってくるなんて思ってもみなかったがその感覚に途惑ってしまっていると、その触れてきた当の本人はというと、ひどく待ちきれないと言ったような様子で、とサンジを見ていて、
「俺、腹減りすぎて、もうとけそう、」
「・・・もうちょっと待ってろこのクソゴム大食い野郎。」
07. 鼻を擽る風味良いそれらは、
身体の中へとするりするりと入り込んでいって。