「うおー!すっげー!!」


ルフィ、ウソップ、チョッパーの3人と共に出かけたは彼らの感嘆の声を聞きながら、はしゃいでいる彼らを見守っていた。家から出発して2時間ほどは経ったのだろうか、もうそろそろ帰ろうかなんてが言うと「えー!!」と不満の声が返ってくるものだから、ならあと少し、と繰り返し続けて1時間。合計すると、彼らと家を出発して優に3時間は過ぎた事になるだけれど。




っ、これは何だ?」
「それは薬草だな。これも医療に使えるはずだ。」
「なあ、これもらっても良いか?」
「ああ、構わない。」


葉を見て使えそうなものを採取している2人とは別に、何かの実を見つけてはに食用であるかを訊いては美味しそうに食すということを繰り返しているルフィ。それのついでに夜の食事に使うものも木に登っている彼に取ってもらい、そろそろ人数分が揃ったから木から下りるようにと彼の方を見上げると、どうやら果物以外にも興味を示す物がそこにあったらしかった。



「うおっ!これ面白ェ!!」


3人が上を見ると、そこには楽しそうに蔦から蔦へと渡っていくルフィの姿。ボロボロの蔦もあるはずなのに、それを器用に避けて頑丈なものばかりを手に取っては次の蔦へと手を伸ばす。「良いなあっ、俺も乗りてェ!!」 なんてキラキラと目を輝かせながら言うチョッパーに「やめとけ、チョッパー。あれはルフィにしか出来ねえ野生の勘ってやつだ。」 と妙に説得力のある言葉で止まらせるウソップ。自分の船長にも、「ルフィ、気をつけろよー!」 と声を掛けて彼の様子を見守る。


「大丈夫だって!!こんなにもかてェもん!」
「いや、固いとかそんな問題じゃなくて、お前が手を滑らす・・・」
あ、手が滑った。
って言った側からかお前!!


彼らのやりとりを聞いていると、案の定ルフィは手を滑らせてその勢いのままにあろう事に3人のいる方向へと落ちてきた。「アホー!!こっちに来んなテメェ!!」 なんて言いながらも、恐怖からかそこを動けないでいるウソップとチョッパーにルフィもやはり止められないらしく「無理だっ!」 ときっぱりと言いのけて加速しながら3人の方へと向かってくる。すると、そんな彼らの様子を見ていたがウソップ達とルフィの間にすっと入ってきた。



っ!おまえぶつかっ!!」
「っ!」
「おわっ!!」


ウソップの声を聞かずに、そのまま両腕を広げて勢いづいたルフィを直に受け止める。相当な勢いがあったため立ったままというわけにはいかなかったようで、その場に倒れ込んでは彼をなんとか受け止めた。「おいっ、!!お前大丈夫かっ!?」 なんて後ろから聞こえてくるウソップの声に大丈夫だと伝えるように手を挙げて返答して、自分の胸元に顔を埋めているルフィに声をかけた。



「大丈夫か?あまりはしゃぎすぎると危ないから気をつけ・・・」
、お前ェ変わった匂いがすんな。」
「      匂い?」


注意を促そうとしていた矢先に突然言われたその言葉。「あァ、何か俺達とは違う匂いがする。」 抱きつかれたまま顔を埋めてそんな事を言ってきた彼は深い意味で言ったわけではない事が容易に想像できるのに、何故かその言葉に鼓動が大きく音を立てた。


「何言ってんだ、ルフィ?」
「俺には違った匂いなんかしないぞ?」


そんな船長の言葉に不思議そうに言葉をかける彼らとは裏腹に、直感で“それ”を感じてしまったルフィに思わず目を見開く。その事を彼らに故意に隠していたわけではない、自分がどこからの出身だとかは彼らの航海に関係がないと思ったから言わなかっただけであって。そう、彼らに訊ねられれば途惑うことなく普通に答えるつもりだった。  それなのに、彼にそれを言われた時、奥底に生じたこの迷いは、一体


? っ、どっか痛むのかっ!?」
「  いや、怪我はしていない。それより、そろそろ離してくれるか?」


チョッパーの声に我に返って、目の前で未だに抱きついているルフィにそう声をかけると「んー、もうちょっと!」 なんて依頼というよりも強制に近いような声色で言われて、背中に回っている腕の力を強くされる。違う匂いがする、という事は自分たちとは異なる事を意味しているのに、それを分かってもなおこうしてすり寄ってくれるのは、



「 違う匂いがするのだろう?」
「 あァ、するぞ?」


「   なら、何故そんなにくっついていられる?」 そんな事を言いながらも自分から彼を引き剥がさないのは、受け入れてくれるかも知れない彼のその温かさを手放したくなくて、心地よさを少しでも長く感じていたくて。(いつから、俺はこんなに人に、)

若干声が震えたかも知れない、けれどやはり訊かずにはいられなかった。何故、自分たちとは違う人間にそうも簡単に心を寄せてくるのだ、 先程まで自分が危険な目に遭っていた事など忘れてしまっているかのように、の身体を抱きしめて離さないルフィに声をかけると、返ってきた言葉はなんとも、


「違うけど、俺は好きだな、の匂い。」


高鳴っていた鼓動がさらにドクンと脈打つのが、意識しないでも感じられたのだ。

06. 甘く甘い滴り

その滴りは、知らないうちに融け込んで奥底へと染み込んで。

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title by 鴉の鉤爪 / 甘く甘い滴り(ざっくばらんで雑多なお題(日本語))