海賊というものは船長という、読んで字の如く船の長がいて船員がいるものであるが、いくら船員が抗議をしたところで決定権は結局のところ船長にあるわけで。




先程のルフィの意思が変わる事はなく、結局船員達は諦め渋々との自宅へと行くことになってしまった。けれど、警戒心が無くなったわけではないので、を先頭に彼らは数歩距離をとりながら後をついて行く。


「なあ、。これは食えんのか?」


けれど、ルフィだけはの隣を歩いて楽しそうに会話をしていた。この島には街などはないがその分、フルーツなどの類は豊富に生えている。ルフィが指差している実を見ては食べられる、食べられないと判断し、ルフィは可の実を「うっめえ!!」 と絶賛しては食べと繰り返していた。


「すっげーな、!!お前何でも分かるのか?」
「何でも、というわけでもない。ある程度知っておかなければ、生きていけないからね。」
「なあ、これは・・・!!」
「あ、それはっ!」


の話を聞いているのか聞いていないのか、の返事の後にまた食べることの可否を訊ねようとして、ルフィはそれに触れるとピリッと何か指に痺れた感覚が走る。はその実を見るとどうやら危ないものだったらしく、とっさにルフィの腕をその葉から離した。その痺れはルフィにとって一瞬だったようで、「ん?何か今痺れたぞ?」 とに掴まれている手をひらひらとさせる。


「あの実は食べられるが、葉に毒がある。致死量には至らないが。」
「実は食べれんのか!!」
「・・・人の話を聞いていたのか?」


実を取りに行こうとするルフィの腕を掴んで、ズボンのポケットからぬり薬を出す。片手が使えないからはそれのキャップを手慣れたように口で開けてそれを葉の触れた指へと塗っていく。「可否を聞く前に触ったら意味がない。」 微笑みながらそう言って、ルフィにその実を渡す。そんなにルフィは「おお!分かったぞ!」 なんて本当に理解したのか分からないような返事をして、美味しそうにその実を頬張る。そんな姿を微笑ましく思ったのか、「まったく、」 なんて言いながらもその顔には笑みが浮かんでいた。


「・・・なあ、」
「ん?どうかしたか?」


つんつん、と服の裾を引っ張られたので、は下に目線を向ける。そこには青い鼻をしたトナカイがの側に立っていた。君は? が声をかけると「俺はトニートニー・チョッパーだ!」 よろしくな!そう言って元気な声が返ってきて手を差し伸べられたから、も微笑んでよろしく、と返した。何だかんだ言っても警戒心を持たれるのは居心地の良い物ではないから、こうして気を許してくれた事が嬉しかったのだろう。


、さっきのぬり薬見せてくれねーか!」
「ああ、これかい?」


ルフィに塗ったそれをまたポケットから取り出して、それをチョッパーに手渡す。「やっぱりこれ、シトロンだ!」その薬を少量出して香りや色を見ただけで判断したチョッパーのその言葉には驚いたような顔をした。


「君は船医かい?」
「ああ、俺はこの船の医者だ!それより、これシトロンだろ?どこで買ったんだ?」
「いや、これは作った。シトロンは私の家の近くに生えていてね、」
「え、これ作ったのか!?」


の言葉にチョッパーも驚いて、まじまじとその薬を見る。どう見ても売っているとしか思えないその完成度に「すげーな、!!」 と医者として、尊敬の目で見上げた。そんなキラキラなんて擬態語がつきそうな目で見られた本人はそれに気付いていないのだろう、チョッパーと同じ視線までしゃがんで帽子をポンと撫でた。


「好きなだけシトロンを持っていくと良い。きっと役立つ。」
「ほ、ホントか!?」
「ああ、作り方は知っているのだろう?」


立ち上がって先行くルフィを見失わないように様子を見ながら、チョッパーと薬用の葉について会話をする。この島には他の島では手に入らないものも生えているそうで、チョッパーは興味津々にの話に聞き入った。

そんな道すがら、は急に目を丸くして立ち止まった。



「ん?どうしたんだ、?」
「・・・と、」
「と?」


「トナカイが、   喋ってる・・・!!


「「「「って、気付くのおせーよ!!!(わざとか貴様!!)」」」」


04. 午後の日だまりの中で

疑うのは、過剰か否か。


シトロンに薬用効果があるかどうかは知りません。


designed by SPICA
title by 赤小灰蝶 / 午後の日だまりの中で