「わあー!可愛いですぞお!!」
「わ、八雲?」
近くにあったエプロンを身に纏とうと後ろからは衝撃と同時にそんな声が私の耳に入る。八雲の突飛な行動に腹部に巻き付いてきた手に自分のそれを当てながら彼の名前を呼べば「のエプロン姿見たら何だか抱きつきたくなったナリ!!」 なんて満面の笑みを浮かべながら抱きついてくる力を少しだけ強くしてくる。
「ふふ、それは嬉しいけれど、このままだとお菓子が作れなくなってしまうわ?」
「むーん、じゃあもうちょっと!!」
背中に顔を押しつけてくぐもった声でそんな事を言いながらすり寄ってくる彼に、どうも私は弱いらしく彼の好きなようにそのまま抱きつかせてしまう。「少しだけね?」 頬の緩みを隠しきれないままに八雲にそう言葉をかけると元気な声で反応が返ってきた。
「えへへ、ぼくのエプロン姿を毎日見たーいっ!」
「でも八雲も仕事があるでしょう?」
「仕事は頑張らないと、ね?」 顔だけを後ろに向かせてそう八雲に言葉を返すと、「何か良い方法ないナリか?」 なんて少し残念そうな顔をしながら思案する彼。一生懸命に「うーん、」なんて唸りながら考えている彼に不謹慎にも一種の可愛さを感じていると、アホサイユのドアが開く音と共に何か箱を持っているアラタが入ってくるのが視線に入る。するとアラタもこちらに気付いたようで笑顔をこちらへと向けてきた。「とやっくんじゃない・・・・って」
「うわ、やっくんずーるーいー。オレもを抱きしめたいのにっ!」
「 ぴーちゃんは、色んな意味で駄目ナリ。」
「ええっ!?ちょ、それってひどくない!?」
こちらへと歩み寄ってきてそんな事を言うアラタに自分と私に近づかせないようにと、げしげしと蹴りをいれながらそう言葉を放つ八雲。彼を怒らせたら大変な事になることをアラタも重々理解しているのでそれ以上近づかないように配慮しながら八雲と会話を続けている。そんな2人の会話を聞いて楽しんでいると、「あーっ!!」 と急に彼が大きな声を出したものだから、それに驚いて抱きついている彼の方へと体を回した。
「 急にどうしたの?」
「あのね、!!ぼく、良い事思いついたよー!!」
「良い事?」
その良い事とやらはよほど彼にとっては画期的なひらめきだったようで、「うん!!ぼくにとっても、にとっても良い事だよー!!」 なんて今度は真正面から思いきり抱きついてくる。嬉しそうに笑みを浮かべる彼に愛しさを感じながら彼をしっかりと受け止めてその良い事とやらを訊ねれば、驚きもあったけれどそれはとても素敵な一言だった。
「が、僕のお嫁さんになるの!!」