「・・・先生、」
「うん?どうしたの、慧君?」


A4の彼らのプリントを作るのに、慧君の力を借りようと生徒会室へとやってきて。慧君には事前に言ってあったから、慌てる様子もなくソファの方へと案内をしてくれて、紅茶を淹れてくれた慧君にお礼を言って一息つきながら、当初の目的であったプリント作りに取りかかったのは良いのだけれど、


「何故、斑目先生までここに来ているんだ!?」


「しかも、先生のひ、膝で何を寝ているんだこの先生はっ!!」 ひどく慌てた様子でそう言葉を放ってきた慧君。の瞳には私の膝で気持ちよさそうに寝ている瑞希の姿が映ったらしい。右手をプリントの上で動かしながらも、左手で彼の頭を撫でていた私の手が慧君の声で思わず止まってしまう。


「 のお手伝い、僕も先生。 、左手止まってる。」
「ど、どこをどう見ても手伝っているようには見えないぞ!せ、先生も彼の頭を撫で続けるなっ!」
「え、あ、ああ、ごめんね。つい、昔からの癖で。」
「なっ、む、昔から、斑目先生はこんな事をやっているのか!?」
「ふふ、羨ましい?」
「だ、誰がっ。」


何だかんだと言いながらも、毎月の試験で話したりしているからだろうか、言い合う二人がとても仲良く話しているように見えて、ついつい顔に笑みを浮かべてしまう。まあ、瑞希の場合、何だか慧君で楽しんでいるようにも見えるのだけれど(まあ瑞希が楽しそうならそれでも良いかなんて思ってしまうあたり、私は昔から彼に甘いらしい。)


「??先生、何故笑っているんだ?」
「ふふ、いや、二人とも仲が良いなあと思って。」
「なっ、こ、これのどこが仲良くっ・・・ま、まあ、先生が笑ってくれるのなら、それで・・・」
、そこ英語じゃなくて、イタリア語になってる。」
「え、 あら、本当ね。」


慧君が小さな声で何かを言っている気がして、耳を傾けようとしたのだけれど、瑞希から発せられたその言葉に思わずそちらの方へと耳を寄せてしまう。とんとん、と作っていたプリントのある場所に瑞希の指が置かれてそこを見やれば、確かにそこはおかしな事になってしまっていた。


「きっと、この前イタリアに行ったのが、まだ抜け切れてない。」
「ふふ、そうね。ありがとう瑞希。」
「 どういたしまして。」
「っ!!ふ、二人でイタリアに行ったのかっ?」
「一のサッカーの応援も兼ねてだったから悟郎と瑞希と私の4人で行ったのよ。あ、慧君もお土産いる?お菓子がまだ残ってるの。」
「!もらっても、良いのか?」
「ええ、もちろん。プリント手伝ってくれてるお礼も兼ねて、ね?」


私のそんな言葉に嬉しそうに笑みを浮かべた慧君は、けれどすぐに照れ隠しをするかのように「よ、よし、成宮の分はできたな!」なんて言って、次にやろうとしていた千聖君のプリントを取り出し始めて。そんな様子に可愛いなあなんて教師らしからぬ事を脳内にちらつかせながら、顔が緩んでくるのをそのままにしていれば、「  、」なんて瑞希の声が下から聞こえてきて、


「 イタリアじゃなくても、はもっと、気をつけないと。知らない人に声かけられて、ついていっちゃ駄目。」
「なっ、そ、そんな子供でもしてはいけないと分かる事をしているのか、先生はっ!?」
「ええ?でも、あれは知らない人っていうよりは、知り合いって言った方が正しいと思うけど?」


瑞希のそんな言葉に慧君までも食いついてきて、二人同時に非難を浴びてしまう。けれど、本当に知らない人っていうよりは、一の友達のサッカー選手だったり、悟郎の友人だったりする人たちで、知り合いの域にいる人だと思うんだけどなあ。なんてそんな返事を瑞希にするのだけれど、「それでも、もっと危機感を持たないと、駄目。」 なんて言われてしまって。


「今回ばかりは斑目先生の言う通りだぞ、先生。知らない人について行くなんて、危ないにも程があるだろう!!」
「い、いや、でも本当に知らないって訳じゃないのよ?一や悟郎の友達だし、」
「だいたい、先生は普段から危機感が無さすぎる。い、今の状態だって・・・」
「・・・今の状態は、おいといて、はもっと危機感を持って、ね?」


先程まで言い合いをしていたはずなのに、何故だか途端に、一致団結したかのように揃って私へと言葉を投げかけてくる二人。やっぱり二人とも私が思っている以上に仲が良いじゃ、なんて思いながら、心配をしてくれているのだろう二人の会話が止むまで、後どれくらいかかるだろうか?(プリント、今日までにしないと真奈美先生に出せなくなるんだけどな・・・)

しっかり者とのんびりやさんのある日の会話

ちょっと待て、何故今の状態を置いたんだ斑目先生!  ・・・これは、いつもの事だから、問題ない。ね、トゲー?  くーけっ!  な、ま、またこの白いトカゲを持ち歩いてっ!と、というか今いつもの事とっ!!