昨日の睡眠不足の所為か、今日は一日中本当に眠く、授業に出ている最中眠ってしまうんじゃ、なんて心配しながら何とか放課後まで眠らずに過ごす事が出来た。幸運な事に日直でもなく、そのまま帰ろうとしたのだけれど、それすらも辛い状態だったから仕方なくアホサイユで仮眠を取らせてもらうことにしたのだが・・・どうやら行くタイミングが悪かったらしい。


「何言ってんだ真壁っ!!は俺様の膝に寝るんだっ!!」
「はっ、お前こそ生徒のブンザイで何を言っている!はこの俺の膝で寝るに決まっているだろう!!」
「・・・(どっちでも良いから、寝かしてくれないかしら、ほんと。)」


先程から続いている、何時終わるのかも検討つかない天十郎君と翼のやりとり。真奈美先生の用事が終わるまで、どうやら翼が天十郎君の補習をやっていたようで、というかそれなら教室でやって欲しかったわ、なんて思いながらも、時は既に遅く、「少し寝かせてくれる?」なんて状況を理解せずに言ってしまった自分に後悔する事しかできなかった。


「良いわよ、私はソファで座って寝るから。2人は補習の最中でしょう?やらないと、真奈美先生に怒られちゃうわよ?」
「座って寝ると首が痛くなるんだろう?それに補習はお前が膝にいてもできる。」


「だから、安心して俺の膝で寝れば良いんだ。」 隣に座っていた翼に耳元でそんな事を囁かれ、それすらも睡眠を促進させる声のように私には聞こえて、天十郎君には悪いが、彼の言葉に甘えてそのまま膝へダイブを決め込もうとしたのだけれど、


「俺様の膝の方が良いに決まってんだろ!!」
「・・・天十郎君、」
「お、俺様の体温は人よりたけぇからな!も、眠りやすいと思うぜ!!」


「補習するけど、ぜってぇ足は動かさねえ!!」 翼の足に飛び込もうとしたのを妨害されて、少し不機嫌そうに彼の名前を呼んだのだけれど、天十郎君はそんな事を気にせずに、少し顔を赤らめてそんな事を言って自分の太腿当たりをぽんぽんと叩いて、私に移動するように促してきた。彼の反応はいつ見ても、初々しいというか可愛らしいというか、なんて事を思いながら、天十郎君の足を見やる。


「・・・確かに、(温かそうだよなあ、)」


彼の膝を借りた事は一度もないけれど、確かに手とかが触れた時はいつも私よりも温かかった気がする。眠たい事この上ない今、温かいとか冷たいとか言ってられないが、確かに彼の温かい膝の上で寝たら、心地よく眠れそうだ。せっかく天十郎君が寝ても良いと言っているのだから、それに甘えても良いかもしれない、なんて先程とは違った考えが脳内に浮かんで、そのまま天十郎君の隣へと移動しようと重くなっていた腰を上げようとすれば、


「  、っ!」
「・・・なあに、翼?」
「あ、歩くのも辛そうじゃないか。無理をせず、俺の膝で寝た方が良い。」



「ほら、早くしろ。」 腰を上げる前に翼に腕を掴まれて、そんな事を言われる。身体を動かす事さえも億劫だったのは確かだった。翼の膝でも安心できるし、それは学生の頃で確認済みだ。やはり近くにある翼の膝を借りようかな、なんてまた考えを改めた・・・のだけれど、私がその考えを纏めている最中に、彼らはまた言い合いを始めてしまったらしい。


っ!俺の膝に寝るんだろう?」
「何言ってんでえ!俺様の膝に寝るんだ!!な、?」
「・・・(もう、私にどうしろと、)」


2人の言い合いすらも子守歌に聞こえてきてしまった私はこのままの格好で寝てしまおうか、なんて考え始めて。翼の言うように、座ったまま寝てしまうと首が痛くなってしまうから、あまりやりたくないのだけれど、そんなに長く寝るわけでもないから大丈夫だろう。痛くならない事を願いながら、聞こえてくる少し大きすぎるその子守歌と一緒に夢の中へと旅立ってしまおうとした、そんな時、アホサイユの扉が開く音が聞こえて、


「何やってるんだ、2人とも。」
「   千聖、君?」
「ああ、俺だが。・・・にしても、こいつらも飽きないな。」


扉から入ってきたのは千聖君だったようで。天十郎君と翼はその事にすら気付いてないらしかったが、そんな2人の様子に千聖君は続けざまにため息を吐きながらまた言葉を放った。つかつかとこちらへ近づいてくる千聖君を眺めていれば、私の脳内でピンと頭にくるものがあった。(ああ、なんて良いタイミングに来てくれるのかしら、千聖君。)


「千聖君、隣に座ってくれないかしら?」
「・・・別に構わないが、何だ?」


今にも寝てしまいそうな目を辛うじて開けて、掻い摘んで説明をする。首が痛くなるのを防ぎたいから、千聖君の肩、もしくは膝を貸してくれないかと。聡い千聖君はその一言だけで今も言い合っている彼らのその原因を理解したらしく、彼は私へと視線を移して、それから膝に置いてあった手を退けて、


「寝るんだろ?俺ので良ければ、貸してやる。」


私の後頭部に伸ばされた手が彼の膝へと飛び込むのを手助けしてくれて。私は笑みを浮かべながら、その誘導に身を委ねて目を瞑ったのだった。(ああ、ようやく眠れる。)

睡眠を委ねる、その場所は?

ふふ、ありがと、千聖君。   ・・・構わん、1時間くらいしたら起こしてやる。      あーっ!!千っ、おまえ何勝手ににひ、膝っ、枕をっ!!!   Shit!おい不破っ!!その膝を今すぐ退けろ!そしてこの俺にを渡せっ。    それより、早く補習を終わらせた方が俺は良いと思うが。そうしないと、こいつにも先生にも怒られるぞ、お前達。    ・・・うっ、確かに、