「 ふふ、天。」
ゆるゆると寝返りを打つかのように、気持ちよさそうに寝ている彼の方へと身体の向きを変える。私に気をつかってくれていつもよりも布団の量が多い所為だろう、ばらばらと布団をはだけさせながら眠っていた。それでも、一緒寝ている私の方の布団はほとんど乱れていないのだから、無意識だとは思うものの、つい顔を緩ませてしまう。
「 んあ、 ?」
「あ、ごめんね、起こしちゃったかしら?」
「 今、なんじ、でぇ?」 なるべく小さく声を出したつもりだったけれど、どうやらそれで天十郎が起きてしまったらしい。覚醒しきっていないまま、枕に顔を埋めてそんな言葉を舌足らずに紡ぐ天十郎に時刻を伝えれば、「まだ、おきる、時間じゃねぇ、」 なんて言って、また瞼を下ろしかけた、そんな時、
「 ああっ!!」
「わっ、 ど、どうしたの、天?」
いきなり叫びながら身体を起こした天十郎。予期せぬ彼のそんな行動に思わず声を上げてしまいながら彼を見上げることしかできないでいると、その声に反応するかのように天がこちらを向いて、これまた突然に、私の上へと乗っかかってきて、
「 っ!!」
「うん?どうしたの?」
「今から、ケーキ作ってくれねぇかっ?」
「俺様、の作ったケーキが食いてぇ!」 何をそんなに慌てているのかと思ったら、彼から出て来たのは何とも不意なそんな言葉であって。こんな特別な日にケーキを作らないはずがないし、それにそれは毎年やってきた事であるはずなのに、何で彼は今それを言葉にして口に出したのだろうか?「ええ、もちろん作るわよ?いつも昼のパーティーに出してるじゃない?」 なんて返事をすれば、
「い、今食いてぇんだ!」
「天?」
「・・・が作る、最初のめでてぇケーキ、は、」
「 俺様が、一番に味わって食べるんでぇ!!」 耳元に響いたそんな言葉は、私の中へとするりと溶け込んでいって、それらの代わりに溢れてきた彼への愛おしさに、再度つい笑みを浮かべてしまって。思わずとってしまった格好なんだろうけれど、普段なら照れてしまってこんな行動をするはずがない彼の咄嗟の行動に、必死になっている天十郎に失礼かと思いながらも、「 作って、くれねぇのか?」なんて不安そうに呟く天十郎が、 (ふふ、これを言ったら、天が離れてしまうだろうから言わないけれど、)
「 天、」
「 な、なんでぇ?」
「誕生日、」
さて、パーティーと今、ケーキはどんなものがいいかしら?