「(アホサイユに行って、千聖に温かいものでも頼もうかな。)」
私よりも早く授業を終わらせてしまった彼らのいる所へと足を向ける。今日は車で帰るとか千聖が言っていたような気がするから、天十郎に頼んでそれに乗せてもらおうかなんて考えながら歩いていると、ふとある事を思いつく。温かいものを飲むよりも、手っ取り早く自分の身体を温める方法を。そうなれば善は急げというもので、少しだけ足を速めてアホサイユへと向かった。
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「あ!がやっと来たよー!!」
「やっとっていうか、オレ達が早く来すぎているんだケドね?」
「おい、八雲!早く俺様のカードを取れ!」
アホサイユの扉を開けて中へ入ると、そこには仲良くトランプをしている彼らの姿。おそらくババ抜きだろう、天十郎の顔が妙に一点に集中しているのが分かり苦笑を漏らしてしまう。(もちろん、それは彼の可愛い部分の1つなのだけれど。)
「、お前もやるか?」
「んー、後から参加させてもらうわ。」
「 後から?」
千聖の言葉にそう返事をして、彼のカードを選んでいる天十郎へと目を向ける。ここにいる彼らは私が冷え性なのを知っているだろうから、急に事に及んでも後から説明すればきっと納得をしてくれるだろうなんて思いながら、天十郎の名前を呼んだ。「 天、」
「ん?、どうしたんでぇ?」
「ババ抜きを中断させて悪いんだけど、でも少しだけ、ね?」
「んあ? 何のことっ!!?」
真剣にトランプをやっている彼を見ているのもきっと楽しいだろうけれど、残念ながら私の身体が保たなかった。天十郎に一言そう述べて彼の返答に反応を返さずに私は彼へとそのまま沈み込んだ。 私の身体を温めてくれる、その心地よい体温の中へと。
「あー!!!テンテンだけずっるーい!!」
「ちょ、!?天ちゃんだけに何してんの!!」
「また、急に何をするかと思えば(後からというのはこういう事か・・・)」
周りから何だか声が聞こえるけれど、その声でさえ子守歌のように私の中へと反響してくるだけで。天十郎の心地よい体温にはどうやら睡魔までとりついていたらしい。その睡魔に抗うことなく微睡みの中を彷徨っていると、大きな音と共にアホサイユの扉が開く音も彼らの会話と共に聞き取った気がした。
「天十郎君!また補習をサボって・・・」