天十郎と千聖が修行でアメリカへと旅立って、ようやくそれも中盤に差し掛かったそんな今日この頃、日本に残るつもりだった私が千聖に言いくるめられてアメリカへと移り住んでからも、同じ月日が経っているのだけれど、


「  千聖、ほら、起きて?」


慣れないアメリカ暮らしに、それから、永遠と続いているらしい真壁さんと天十郎の言い合いを間近で聞いている所為か、何なのか、ようやく纏まった休息日をもらえたらしい千聖は、その夜からぐっすりと今までの睡眠時間を補うかのように眠ってしまっていて。


「・・・」
「千聖、昼食くらいは、食べないと、ね?」


いつもなら、私が起き出すと隣に寝ている千聖も起きるのだけれど、今日はそんな日常がなかった。そんな少しだけ珍しい出来事に笑みを浮かべながら、隣で心地よさそうに寝ている彼のために、朝食兼昼食でも作ろうかしら、なんて思い立ち、こうして準備し終えて、未だに眠っている千聖を起こしにかかっているのだけれど、中々、私の愛しいその人は目を覚ましてくれないようで。

普段は千聖が私へと言ってくれる言葉であるはずのその台詞を言っても、瞼を開いてくれることはなくて。それほどまでに疲れているのだろうかと思っていた。・・・のだけれど、寝息にしては妙に整いすぎているそんな呼吸に少し違和感を覚えた私は、寝ていたら反応するはずのない、そんな言葉を投げかけてみようと、口を開いた。


「食べないのなら、天を呼んで食べてもらおうかしら、 わっ、」
「・・・それは、困る。」


「ようやくもらえた休日だ。誰にも邪魔されず、と2人で過ごしたい。」 ベッドから急に伸ばされた腕に抱き込まれ、耳元で紡がれるそんな言葉。やはり、目の前の彼は起きていたらしい。「の作った料理は、俺が全部食べる。」 続けざまにそう言葉を囁いてくる千聖へと、ゆるりと視線を上げた。


「もう、いつから起きてたの?」
がこの部屋に来たくらいから、ぼんやり意識はあった。」
「・・・それ、最初からって事でしょう?」
「仕方ないだろう?」


の起こす声が、あまりにも気持ちよく響いてきたんだ。」 もぞもぞと動いて、私の首元へと顔を埋めながらそんな事を言ってくる千聖は、どうやら、まだ起きる気はないようで。目の前にある柔らかいその髪の毛を、眠りを助長させると分かっていつつも、それを指へと絡ませてゆるゆると彼の頭を撫でながら、昼食を作りかけてるんだけど、なんて声をかければ、


「・・・アメリカ、というか外国の奴らは、スキンシップが多いと聞いた。」
「・・・話がいきなり飛び過ぎよ、もう。真壁さんからでも聞いたんでしょう?」
「情報元は誰でも構わんだろう?それよりも俺は、」


と、もっと触れ合いたいんだが、」 首元に寄せていたその顔がそっと離れて、けれど距離からすれば今の方が近くて。額へと彼のそれをくっつけられて、息すらも相手の顔にかかってしまいそうな、そんな距離で、愛しい自分の恋人に、そんな事を言われてしまえば、(・・・まあ、一応、火の元は閉じておいたけれど。)

穏やかに揺れる太陽の下で

そんな事を言ってくれる彼の唇を塞ぐのに、時間は全く掛からなかった。