「だから、吹かんと言っているだろう!!」
クラスZに慧と那智が来て数日、意外にも早く彼らがここに慣れてきたなあなんて考えていた今日この頃。そして突然慧が真奈美さんの授業時間に自分が授業をやり出すと言ってそのまま教壇に立ったのもそんな今日この頃だった。
「多智花!弁当を今食べるなっ!」
「ふぁってー、おふぁかふぇったんだふぉん!!」
「た、食べている最中に何かを話そうとするな!そして何を言っているのか解らん!」
「ンフ、「だってー、お腹へったんだもん!!」ってやっくんは言ってるんだよ、お兄ちゃん。」
「な、何故理解できるっ!?」 4月の真奈美先生のように、A4に完全に手玉に取られている慧、そんな彼の近くの席にはそれを見ながら同情しているような、懐かしいような目で見ている真奈美さんに嬉しそうに慧を見ている那智の姿。それもそれで何だか微笑ましいなあなんて後方の席から見ていると、急に慧の視線がこちらへと向いてきた。
「!君も笑っていないで隣の不破を起こせ!」
「ん? 千聖ったら寝ていたの?」
慧の言葉に隣の彼が寝ている事にようやく気付いた私は彼の方へと視線を向ける。机に枕まで出して気持ちよさそうに寝ている千聖の姿がすぐに視界へと入ってきて、思わず笑ってしまう。こんなに心地よさそうに寝ているから、無闇に起こしてはいけないんじゃないのかなんて思ってしまう。
「不破、枕まで出すな!というかそもそも寝るな!!」
前方から聞こえてくる慧の声に寝息で返事をする千聖。怒られている対象が自分だという事をそっちのけに慧の怒鳴り声に起きもせずに睡眠を続けている彼の頭をいつもしているようについつい撫でてしまう。相変わらずの触り心地に思わず笑みを浮かべていると、本当に寝ているのか寝ていないのか、彼は枕からずるずると顔を移動させて終着地を私の脚へとしたようで。
「 千聖?」
「 (が、悪い。)」
私の脚を枕代わりへとした彼は嬉しそうに笑みを浮かべて寝入っている。そんな千聖に名前を呼んで声をかけるのだけれど、「( 膝枕、してくれるんだろう?)」なんて彼の心の声が聞こえたような気がしたから、いつもは起こして授業に参加するように促すのだけれど、今日はこの愛しい寝顔に免じて起こさないであげようか。(所詮、私も人の子。自分の欲求には勝てないのだ。自分の脚で寝ている彼が、こんなにも)