残された私はというと、真奈美さんから出た課題も終えてしまったし何をしようか、なんて彼の淹れてくれた紅茶を飲みながら思案していると、ちょうど彼の部屋に置いていた本があったのを思い出したからソファに座ってそれを読み始めた。確か、3冊くらい置いていったはずだけど、
**
それから何時間経っただろうか、本に集中するとあまりそういうことを気にせずに読む質なので時間を気にせずに本を読んでいたら、先程とは少し違う、ドアを開ける音だけが耳に入った。
「ったく、何で急に俺が・・・」
「お帰り、千聖。」
ドアの側からまだ根に持っているのか、文句を呟きながらこちらへとやってくる彼に一応顔を上げて彼に挨拶をする。お帰り、なんてここに住んでいる彼に言うのは何だかおかしい気もしたけれど、彼は気にも留めなかったらしく、「ただいま、。」 なんて嬉しそうな顔でそう言われた。
「本、読んでいるのか?」
「ええ、もうちょっとで終わるから待ってね?」
「・・・・ああ、」
今度は目を合わせずに本に視線を落としたまま千聖に返事をすると、少し間があったのが気になったけれど、一応待ってくれる意を示す返事をくれたのでお礼を述べて、本に集中しようとしたのだ。
「・・・千聖、」
「何だ?邪魔はしていないが?」
「・・・・」
そこまでは良かったのだけれど、千聖は隣に座るわけでも地べたに座るわけでもなく、私とソファの狭い隙間に体を無理矢理入れ込んで、後ろからお腹に手を回してきたのである。
「邪魔はしてないけど・・・あのね、」
「ああ、俺は邪魔をしていない。を抱きしめているだけだ。」
「(ああ言えば、こう言う。)」
直接的に読書を止めろと言わずに、間接的にこうして訴えてくる彼。私の首元に顔を埋めてわざとらしくリップノイズを立ててキスを落としてくるのもその1つなのだろう。(まったく、こんなことされたら)
「千聖、本が読めないでしょう?」
「なら、読まなければ良い。そして俺だけにその瞳を向けてくれ。」
「俺が側にいるのに、他の物に気を向けるな。」 少しだけ、拗ねたような口調でそう言葉を向けてくるものだから、その可愛さについ笑みを浮かべてしまう。(顔が見られないのがとても残念。)
「ふふ、分かったわ。読書はもう止めるから、千聖の顔が見たいな?」
「なら、こっちを向いてくれ。俺もの顔が見たい。」
本をソファに置いて千聖の方を向くと、そのまま彼の瞳に吸い込まれるように気がつけば、唇に彼のそれが落とされていた。「愛してる、。」そう言ってまた彼は口付けをして、とても優しい笑みを浮かべた。(ああもう、敵わないなあ。)
「ふふ、私も大好きよ。愛しい私の千聖さん?」
「俺の方が、愛しているさ。」
今から、証明してみるか? なんて言いながら、またキスを強請ってくるからその愛おしい彼の一部分である唇にゆっくりと私のそれを重ねた。