7月22日の朝、彼らの家へと向かった私はすでに起きていた那智へと持っていたその箱を渡して、家へと上がらせてもらう。「のケーキって朝食べても美味しいよねー。」なんて言いながら既にその箱を開けている那智に苦笑を漏らしながら彼の兄である人の居場所を訊けば、「兄さんならまだ寝てるよー。昨日遅くまで生徒会の仕事してたみたいだし。」 あ、ついでに起こしてきてくれる?  なんて言いながら、朝食の代わりにケーキを食べようとしている那智に程々にしとくようにと一応忠告をして、彼の部屋へと歩を進めた。


「    慧?」
「ん、」


那智の言ったとおりに、未だにすやすやと寝息をたてて寝ている彼の姿が目に入る。もう少し、その可愛い寝顔を見ていたかったけれどそろそろ起こさないと余裕を持って学校に行きたがる慧にとっては致命的な時間となってしまうから、私は彼のベッドへと近づいて彼の身体を軽く揺らした。


「ほら、慧、起きて?もうそろそろ起きないと。」
「う、ん、 もうそんな時間、 っ!!?」
「ふふ、おはよう、慧。」


元々寝起きの良いから、慧は私の声にすぐに反応してくれて目を擦りながらもゆっくりとその身体を起こしてくれた。けれど彼は私の姿を確認した瞬間、眠そうにしていたそれを見開いて私の方へとその視線を向けた。そんな事を気にせずに、私が朝の挨拶であるその言葉を述べれば、「あ、ああ、おはよう。」 と驚きながらもその言葉はしっかりと返してくれた。


「って、何でここにがいるんだっ!?」
「那智が入れてくれたのよ。」
「それは何となく分かるが、ここに何で入れたという意味ではなくてだな・・・」
「ふふ、慧。」
「何だ?」
「今日が何の日か、分かる?」


驚く慧に暢気に私がそう訊けば、予想通り、彼は今日が何の日かを気付いていないようで。那智と同じ誕生日なんだから、自分の誕生日くらい覚えていても良さそうなんだけれど。それとも那智への誕生日プレゼントは買っているのだけれどそれが今日であることを忘れているだけなのだろうか。(それはそれで、彼らしいけれど)


「今日?」
「ええ。因みに、今日は7月22日よ。」
「22日・・・報告会は確か明日だったはず。」
「学校の事じゃないわ。もっと身近なこと。」
「もっと身近?  ・・・・・・ああ、そうか。今日は、誕生日、だな。」


「那智と、僕の。」 漸く思い出してくれた慧は、「そうか、誕生日か。」なんて少し感慨深そうにその言葉を口にする。けれどそれと私がここにきた理由が合致しないようで、不思議そうな顔で私の方へと再度視線を向けてくるものだから、私は開いたばかりのその瞼へと唇を1つ落としたのである。


「なっ!!」
「ふふ、愛しい人の誕生日を誰よりも早く祝ってあげたいと思ったのよ。」


「駄目だったかしら?」 自分の瞼を押さえながら頬をほんのり赤らめている彼にそんな言葉を紡ぎ出せば、その言葉を理解した彼は急にその顔を布団のかぶっている膝の上へと沈めてしまった。さすがに急だったかと思いながらも、今の彼の行動がきっとあれなのだと推測した私は少しずるい訊き方で「嬉しくなかったかしら?」なんて言葉を掛ければ、


「   嬉しくないわけがないだろう。」


小さな声で、それでもしっかりとした声でその言葉を紡ぎ出してくれた慧。そんな彼、照れ隠しのために膝を抱えているそんな愛おしい彼を、私はそのままそっと抱きしめたのである。

7月22日のお誕生日 兄編。

おめでとうという私の言葉を聞いた後、ゆるゆると私の背中へとその腕を回してくれたのだ。