「だから、これはこっちだと言っているだろう。」
「わあ!できたー!!」
「成っちょ、これはそっちだよ。」
「ん?そうだったか?」
その見慣れてしまった光景を慧の隣に腰を下ろして見ていれば、いつの間にやら千聖がおやつを用意していたようで。一段落ということで、その紅茶にお菓子をいただくことになったのだけれど。
「 慧?」
「 ・・・ああ、」
休憩という言葉に天十郎や八雲が心底嬉しそうに笑みを浮かべている隣で、いつもなら「これをいただいたらすぐに始めるぞ!」 なんて言葉を放つはずなのに、今日はその言葉が彼から出てこなかった。少し気になったから彼の名前を呼んでみると、返ってきたのは何だかおかしな反応で。
「・・・」
「ふふ、あらあら。」
気になって慧の顔を覗き込んでみれば、もうすでに瞼を閉じて首を少し揺らしている状態であって。どうやら昨日は遅くまで生徒会の仕事をしていたらしい、そんな事を朝の時に言っていたけれど、まったく彼は自分のことになると少々無頓着になりすぎではないか。(まあそんなところも、愛しい彼の一部分ではあるのだけれど。)
「 慧、ベッドを借りて少し眠ってきたら?」
「 、」
「うん? どうし、 わ、」
「あー!!!」
ベッドを見ながらそう提案する私に、まだ少し意識があったのかは分からないけれど、私の名前を呼んでくる慧。そんな彼の言葉に私は彼の方に向き直って返答しようとするのだけれど、それは彼がこちらへと倒れ込んで来た事で中断させられてしまった。私ももちろん驚いたけれど、周りにいた八雲やら天十郎やら、アラタやらの驚きの声が大きくて。
「慧?」
「 ん、、」
突然な慧の行動に驚きながらも何とか彼を受け止めて、彼の名前を呼ぶ。けれど慧はそのまま私の腰へと腕を回して私の名前を呼ぶだけであって。慧は寝惚けるとこうなるなんて事はもちろん知っていたけれど、まさか人のいる前でもこうなるなんて。(生徒会にいる時になった事はなかったわよね。)(ふふ、示しがつかないからかしら。)
「ふふ、もう慧ったら。」
しかし何だかんだ言ったって結局私も慧には甘いわけで。幸せそうに笑みを浮かべて眠っている慧を起こすなんて事もちろんできるわけがなく、私は彼のその柔らかい髪の毛に指を通しながらその愛らしい彼の頬に1つ唇を落とすのだった。