「ふふ、また来ちゃいました。」
聖帝を卒業してからというものの、それでもあの心地よさを忘れられなくてこうして悠ちゃんに会うためここを訪れている訳なのだけれど、やはり悠ちゃんの笑顔を見ると自然と自分の顔にも笑みが浮かんでくる。
「あれ、瑞希君は?」
「部屋の外で教授達が騒いでいるそうで、遅れるってメールが来たかな?」
私の返事に 「ふふ、相変わらずね。」 なんて嬉しそうな顔をして微笑んでくれる悠ちゃん。可愛いなあ、相変わらず、なんて思いながら悠ちゃんと会話をしていると、職員室のドアの開く音を耳にする。
「南先生、これ教室に忘れていってたよ! って、!?」
「ふふ、真田先生も久しぶりですね。」
私の姿を確認した瞬間、目を見開かせて驚く真田先生。それから先生は辺りを見回して「あ、あれ、今日、斑目は?」 と焦りながら訊いてきたから、先程悠ちゃんにも言ったように答えると「そ、そうなのか!?」なんて今度は安心したように言葉を返してきた(先生、瑞希にずいぶんからかわれていたしなあ、瑞希はずいぶん楽しそうだったけど。)
「斑目が今ならいない、のか。(こ、これなら邪魔されずににっ!!)」
「? 真田先生、どうかなされたんですか?」
悠ちゃんの言葉に「せ、先生!!俺、頑張ってみるよ!」 そう言って片手を力強く握り、意気込む先生。私には理解しかねたのだけれど、悠ちゃんにはどうやら先生の言っている事が分かったらしく「でも、真田先生、たぶん瑞希君がもうそろそろ来るかと・・・」なんて先生に言葉を返していた。悠ちゃんの言葉から瑞希のことかしら、なんて思っていると、頬を赤く染めた真田先生が私の方にぐるっと体を向けてきた。
「っ!!」
「先生、どうしたんですか。そんな顔真っ赤にして?」
「あ、いや、これは、そ、その っじゃなくって!!」
「俺が言いたいのは、だからっ!」 言いかけては言い淀む先生に、「ほら、先生少し落ち着いて?」 なんて声をかける。普通こういうのって先生が生徒にするものじゃないかしら、そう思いながらもその相手が真田先生だと妙にしっくり来てしまうのが先生の良い所なのかも知れない。
深呼吸する先生を微笑みながら見ていると、ようやく決心したようでこれでもかというくらい真っ赤な顔をこちらへと向けてきて、職員室の外にも聞こえるんじゃないかってくらいの大きな声でやっとの思いで言葉を紡ぎ出した。
「 で、 デート、を、してくれませんか!!」
「? 誰と誰がデートをするんですか?」
「だ、だから、 き、君と お「僕が。」」
その言葉を先生が放つと同時に、後ろから感じる何かの重力。いつものように腹部に回してくる彼の手の上に自分の手を重ねながら、先生にそう訊ねるのだけれどそれも彼の言葉によって遮られてしまう。彼の声が聞こえてようやく彼の存在に気付いた先生の視線は私の上にあるであろう彼へと向けられて。
「なっ!?」
先生が驚いているにもかかわらず、「、迎えに来たよ。」 なんて私に先生に悪びれもせず嬉しそうな声でそう言葉をかけてくるのは、