卒業して数年経った今、B6をしっかりと育て上げちゃんと卒業させてくれた悠ちゃんに会うために今でもたまに聖帝を訪れている。そんな今日も聖帝に来たのだけれど、最近は語学準備室に行くことが多い。悠ちゃんがあそこにいるからって言うこともそうだけど、一種の休憩所みたいで私もあそこが気に入っていたのも理由の1つである。


、ここ。」
「ん?ああ本当、スペルが間違ってる。」
「うん、」


私に身体を預けて後ろから覆い被さるように抱きついている瑞希から、そんな指摘をされる。その箇所を見ると本当に間違っていたから、さすが瑞希だな、なんて思いながら、お礼を言う。「ふふ、どういたしまして。」 首元に顔を埋めて、嬉しそうにその言葉を口にした。(可愛いなあ。)

 

「ふふ、ちゃんと瑞希くんは本当に仲が良いわね。」
「だって、2人ともお互いが大好き、だから。」


悠ちゃんが微笑ましそうにそう話すと、瑞希もそれに応えて「ね、。」 なんて横から私の顔を覗きながら同意を求められる。そうやって笑顔で寄ってくる瑞希の頬に手を添えて同意しながら撫でていると、悠ちゃんの隣でこちらを真っ赤な顔で見ていた真田先生が大きな音と共に、椅子から立ち上がった。


「ああもう、斑目!!」
「 なに、子犬先生。」
「だから子犬じゃねえって何度も言ってるだろ! って違う!今俺が話そうとしてたのは!!」


「くっつき過ぎなんだよ、お前!」 ずびし、なんて音がつきそうな感じで瑞希に指を向ける真田先生。それなら咎めない私も同罪なんじゃないのかと思いながらも、このやりとりは見ていて飽きないので、そのまま悠ちゃんと話しながら眺めることにする。


「だいたい、俺だって、とい、一緒に・・・」
「 無駄、 不毛な、恋。」
「うるせー!!言ってみないと分からないだろ!しかも先生と生徒、なんて足かせはもうとっくに無くなったんだからな!!」
「その足枷がないとしても、無駄。」


一体、何の話をしているんだろうと悠ちゃんと会話をしていると、瑞希が膝に置いていた私の左手を優しく掴んで悠ちゃんの前に差し出した。あ、そういえば・・・


「先生、の左手、見て?」
「左手?うーん、指輪があるわね?それがどうって・・・ええ!!!」
「ふふ、」


最初は何の事なのか分からなかった悠ちゃんも瞬時にその意味を理解して瑞希と私、2人の顔を交互に見ながら口に手をあてて驚いている。瑞希の顔は見えないけれど、きっと少しだけ照れているんだろう。そんなことを思っている私も、きっと幸せそうな顔をしているに違いないなんてことは容易に想像できた。


その指輪がはまっている場所は、もちろん 


「悠ちゃんごめんね。言うの忘れてた。」
「忘れてたって・・・そう言う事は早く言いなさい!!もうっ、2人ったらいつもこうなんだから!」
「先生、怒ってる割には顔が嬉しそう。」


「当たり前じゃない!嬉しいに決まってるわ!!」 なんて言ってくれて、机を乗り越えて私達を抱きしめてくれる。いつが式なの? と私達よりも嬉しそうに笑みを浮かべながら訊いてくる。また、招待状送るね。 と返すと「今度は忘れないでね!」 と強く念押しをされた。瑞希もそんな先生の笑顔につられたのか、「ふふ、忘れずに。」 なんて言いながら、私の頬に自分の頬を寄せてきた。(ふふ、瑞希ったら。)


「ふふ、何着ていこうかしら。真田先生は何を・・・先生?」


悠ちゃんがわくわくしながら真田先生の方を向くと、最初の時みたいにこちらを向いていた。けれどその顔は真っ赤なんかじゃなくて、むしろ青に近いような、そんな顔色。「真田先生、どうかしましたか?」 なんて悠ちゃんが微動だにしない先生の肩を揺すりながら声を掛けると、先生は「お、おれの、こい・・・」 なんて言いながら、机に突っ伏してしまった。(何だったんだろう?)

そんなある日の昼下がり

俺の、おれのっ!!南先生ーっ!!(がばっ)   きゃあ!真田先生っ、どうしたんですか!?   だから、不毛な恋って言ったのに。   ?何の事、瑞希?   ふふ、ううん。何でもないよ。それより、、ハネムーンはどこに行く?