「ん、・・・・・ぐぅ。」
頬杖をつきながら隣を見ると、気持ちよさそうに寝ている瑞希の姿がある。机に突っ伏して顔だけをこちらに向けても寝よ、気持ちいいよ。 と誘ってこんばかりの爆睡よう。膝にはさっきまで読んでいたであろう本が置いてある。天才には奇人が多いと聞くけれど、昔の人は上手く言ったものだと今の状況を見ると思わざるを得ない。
すっと彼の髪を撫でて、感触を楽しむ。瞬とか悟郎の髪もそうだが、瑞希の髪もさらさらしていて気持ちが良い。たまに寝ている時にこうして触らせてもらっている。(起きている時に、了解を得た。ならいつでもどうぞ、と優しそうな笑顔をされたのを今でも覚えている。)
「ん、・・・、」
「あら、起きちゃった?」
体を起こして手から髪が離れていく。(ああ、気持ち良かったのに。) 目を擦りながら眠たそうにこちらを見る瑞希、と何をするかと思えば、突然本を膝から机へと移動させて、ふらっとこちらに倒れるように近づいてくる。止めようと思ったけれど、反応が遅くて気付いた時にはもうすでに瑞希は私の太腿を枕にしていた。
「・・・瑞希、今は授業中よ?」
「・・・・気にしない、気にしない。」
「いや、気になるから言ってるんだけどね。」
私が言うことに耳を貸さないにもかかわらず、「・・・、温かい。」 と嬉しそうに微笑むものだから、ついつい瑞希のペースに乗せられてしまう。結局、許してしまうのだ。(こんな可愛い子に勝てる自信なんてかけらもない。)
「おや、す、み。」
「ふふ、おやすみ。 良い夢を。」
左手で彼の髪を撫でながらそう言うと、瑞希の変わりに彼の親友、トゲーが元気よく答えてくれた。