「先輩、あ、あのこれっ!!」
「ふふ、ありがとう。」
バカサイユに行く合間にもB6に劣らず、綺麗にラッピングされたお菓子をバカサイユの周りを囲んでいた生徒達からたくさんもらっていた。にプレゼントを渡した女生徒も彼女の笑顔を見て黄色い声を上げては顔を赤らめていた。そんな事を知ってか知らずか、は微笑んでそれらを受け取りながら、それでも着実にバカサイユへの距離を縮めていった。
「相変わらず、すごい量ね。」
ようやくバカサイユに入れたと思ったら、どうやら甘い香りは変わらずダンボールが山積みになっているのが目に入る。今年は3年だから卒業前に、なんて子が多いのかしら。 なんて思いながらはソファに腰を降ろす。すると、タイミングを図ったように清春は彼女の足の上に座ってきた。どうやら、彼が一番乗りだったらしい。
「清春、早いわね。」
「ヒャハハッ!オレ様を誰だと思ってるンですかァ?」
「あー、そうね。(可哀想な事になってないと良いけど。特に、瞬とか。)」
目の前にいる清春の頭を撫でながら片方の手で先程もらったチョコレートを一粒口の中へと入れる。口の中の温度ですぐに溶けてしまったそれのチョコレート独特の甘みが口の中に広がる。その美味しさに舌鼓を打っていると、清春の頭を撫でていた手を急に掴まれる。
「清春、どうしたの?」
「どうしたの、じゃねェよ!お前はオレ様に渡すモンがあんじゃねェのか?」
食べようとして摘んでいたチョコも彼の口の中へ、まるでそちらが目当てだったようにの指も一緒に入れられる。その甘さに眉間に皺を寄せながら「甘ェ、」 なんて言ってくる。じゃあ食べなければ良いのに、なんて思うのだがそんなことを言えば清春の機嫌を損ね兼ねないので言わない事にする。
「渡すものって、今週末に作るって言ったはずだけど?」
バレンタインの日に持ってきても良かったが、睡眠時間を削りたくなかったから週末に作ることにした。それを先日彼に言えば、当然のように家に来ると言っていなかっただろうか。そんなことを思いながら、確認を取るように清春に訊ねる。
「あァ?オレ様は今欲しいんっだっつーの!!」
「(なんて理不尽な、)」
あれは了承の意じゃなかったのか、と思案もするが、そんなことをしたところで彼の意思が変わるわけがない。「何も用意してないけど?」 なんて当たり前のように(というか、当然なのだけど。)清春に言うと、何だか妖しい笑みを浮かべて顔を近づけてきた。
「清春?(これはもしかしなくても、)」
「ねェんなら、キシシッ!!」
「始めから、」
話そうとしたのにそれを清春からの口付けで止められてしまう。「オレ様に、貰われとけよ。」 なんていつもより低い声で、それでも心地良い声で囁かれたものだから、「そうね、貰われとくわ。」 そう言って彼の口付けに答えてしまったのも仕方のないことなのかもしれない。