夏真っ盛りな時期が過ぎ去った今日この頃。しかし、いくら過ぎ去ったとはいえ残暑というものは暑いもので。ようやく朝は涼しくなってきたが、夜はまだ蒸し暑さが残っている。そのため、寝る時の姿も自然と薄着になっていくのだが・・・



「まあ!清春くん、いらっしゃい!ったらまだ起きてないのよ。ちょっと起こしてきてくれる?」


に会いに来た清春は彼女の母親にそう言われていつものように2階へと上がる。昔から家族ぐるみで仲の良かった仙道家と家はお互いの子ども達が突然朝方に訪れてもこうして快く中へと入れてくれる。最近、その子達が恋人になったと聞いたのなら尚のこと。キッチンで笑みを浮かべながら朝食を作っている彼女の母親に気付かないまま、清春は進めている歩を早めた。



「おい、。」
「ん、」
「おーい、。起きろ、おーきろって。」


の部屋に入って、ベッドの中で幸せそうに寝ている彼女を軽く肩を揺らしながら起こそうとする清春。しかしの方はそんな清春を余所に身動ぎをするだけで、起きる気配がない。そんなのベッドの脇に座って彼女の寝顔を見る。顔の輪廓を指でなぞり、首筋へと伝わらせると、その手はそこで止まってしまった。


「・・・下着ィ?」


肩の方を見てみると、いつも見ている黒のTシャツのラインはなくて代わりにそこには細い紐だけが掛かっていた。そういえば、最近彼女は暑いから薄着で寝ているの何だのと言っていたような気がする。けれど、それは毎年のように聞いていることだからまたTシャツやタンクトップを着て寝ているのだろうとは思ったのだが、まさか下着姿で寝ていると思わなかった。・・・上がこれと言うことは、すぐにピンと着た清春はガバッと勢いよく布団をめくった。


「やっぱりか、・・・・ったく。」


めくってみると、やはりはズボンもはかずにそのまま下着姿で寝ていた。ため息を吐きながら清春は彼女を見る。朝がこれだけ涼しくなってきたのを考慮していたら、こんな格好にはならないはずなのだが。そんな清春の考えが的中したのか、は肌寒さを感じてベッドに腰掛けている清春に寝ぼけながら擦り寄ってきた。


「ん、きよ、」
「ンァ? ンだよ、やっぱ肌寒いンじゃねェか。」
「きよはる、」
「あーあー、分かった分かった。寝りゃー良いンだロ、寝りゃー。」


手を握りしめるに清春はそう言って、そのままベッドに寝転がる。それを見計らってか、は暖かみを求めて清春の首にゆっくりと抱きついた。「ふふ、」 とそれはもう嬉しそうに微笑みながら首の後ろで手を絡める。清春にとって・・・というか健全な男にとって、寝ぼけながらとはいえこんな行為を(しかも恋人に、だ)されては、色々と持たないのは当然なことであって・・・


「狙ってるンですかァ?」
「ん、 はる、」
「オレ様の名前は清春だってェの!ったく、お前が悪いンだゼ?オレ様は当然のコウイをしたまでだからなァ?」


そう言った途端、清春はを組み敷いて唇に舌を這わせた。浅い、啄むような口付けだったはずなのだが、何時の間にかそれが深くて、息がしにくいようなそれへと変わっていって。   が起きたのはその時だった。


「う、ん、  !!」
「お、やっと起きたかァ! やっぱ、起きてねェとつまンネェよなァ!!」
「は?  え、き、よはる?」
「オレ様以外に誰がココに来ンだよ!」
「・・・そうね、清春しかいないわよね。」


「ヒャハハ!良く分かってンじゃねェか!お前の愛しの清春様だゼェ!」 なんて言いながら、首筋に跡を付けていく清春。そして、いまいち状況が分かっていない。とりあえず清春を退かしたいのだが、驚くことに自分の腕の行く先を見ると清春の首にしっかりと回っているのだ。全く覚えがないのだが、こんなしっかりと清春に自分から抱きついているのだ。清春に退けと言ったところで、流されて終わってしまうことが目に見えて分かる。まあ、もとより、目の前にある快楽から逃げおおせるとは思っていないのだけれど。


「清春、夕食は食べさせてね。」
「キシシっ!分かりましたァ!!」


本当に分かっているのか定かではないような口調でそう言われた後、唇をまた奪われる。ああ、またこのパターンか、なんて思う自分もいるけれど、そんな彼も好きになってしまっている自分がいるのも事実なので、首に回している手を強めて彼との距離を自ら縮めた。

欲求不満で何が悪い

そう言って開き直る彼に、優しい口付けをおくった。





title by M. / 欲不満で何が悪い