「それでなー、のやつがなー・・・・」
「・・・にゃー、」


バカサイユで猫と話しているのは言わずもがな、アニマルマスターの異名を持つ草薙一である。


「あー、ってマジ可愛い。」
「にゃー。」
「お、お前もそう思うか!  そんなが俺の恋人かー・・・くぅ!」
「・・・・みー、」


顔の筋肉を緩ませて、猫に抱きつく一の姿。猫は彼に抱き上げられて足の間に納まっているので、逃げようにも逃げられない状態でいる。この光景ならバカサイユで日常を過ごしている彼の友人達はそれこそいつだって見ることが出来る。    ただ、会話の内容がいつもと違うだけで。


「・・・けどな、最近、と一緒にいる時間が少ない気がするんだ。」
「にゃう。」
「うぅ、やっぱりそうだよな。、今何してんだ?」


最近の一と猫の会話と言ったらの事ばかり。さらに言うと一方的に一が語りかけているから会話が成立しているのかどうかも怪しい。そして今の会話から分かる通り、最近どうやらとの時間がいつもよりも減っているらしいのだ。(まあそれも一の基準であるから一般的に見たらそうであるかと言われたら頷きがたいのだが。)


「Be quiet. 一、もう少し静かに待てんのか。」
「だ、だってよー!!」


言ってもどうせ聞きやしないのだろうと思ってもついつい口にしてしまう翼。その後の標的にされると分かっていても、つい口にしてしまうその言葉。絵本を読んでいる翼の隣に勢いよく腰を下ろす。


「だってもキュウリもない。ならそのうち来るだろう。」
「そうなんだけどさー・・・・ていうか、キュウリだったけ?」
「はっ!この俺が間違えるわけないだろう!」


絵本を読み続けながら自分にへばりついている一の会話に入ってやる翼。普段なら突き飛ばされるところであるけれど、今は絵本に集中しているため、さほど邪険に扱われていない。しかしそれも時間の問題。翼が読み終わった時にはどうなるかはもう分かりきった事である。


「・・・眠い、」
「おー、瞬。」


翼の我慢もそろそろ限界に近づいてきた頃に、(翼的には、)タイミング良く瞬がバカサイユへと入ってきた。一の声がする方向を見て彼らの反対側のソファに座る。「あれ、と一緒じゃないのか。珍しい事もあるんだな。」 そう言いながら、ソファに寝転がり夢の中へと落ちようとした、しかしそれは一によって受け止められ再び浮上させられてしまった。


「うぅ・・・っ! しゅーんっ!!」
「ぐはっ!  な、何だ草薙!!」


反対側にいる瞬に思いっきりタックルを喰らわせる一。それの反動で上半身を起きあがらせる瞬。「やっぱ瞬もそう思うよな!?」 瞬に尋ねているのか、自分の中でそう思っているのか分からないような声で瞬の腰に抱きついて離れようとしない。これが他のB6だったら突き飛ばされる事間違いないのだが、抱きついた相手はB6のママである。一の背中をさすって宥めながら話を聞いてやる。


「な、何だ。と喧嘩でもしたのか?」
「(ふるふる)」
「じゃあ、何だ。ほら、黙っていても何も解決しないだろ。」


端から見たら何とも言えないその光景。「ー。」 なんて泣き言のように発して瞬にさらに抱きつく。当然のように、一の力一杯の抱擁を受けている瞬は苦しそうな顔をする。依然として一はとしか言わないから解決しようがなかった。ぽんぽんと子どもをあやすように頭を撫でていたそんな矢先、バカサイユのドアが開いた。


「ごめん、一。遅くなって・・・・わーお。」
「っ!! ー!!」
「わっ、一?」


そこに現れたのは一が待ち望んでいた恋人のであって、一はだと分かった瞬間、まるでお母さんが迎えに来た時のように目をキラキラと輝かせて、思いきり飛び出して勢いよく抱きついた。


、もっとその犬を構ってやれ。俺が疲れる。」
「犬って・・・」
「いや、強ち間違ってはいないぞ。」


翼と瞬のその言葉に、抱きついてきた一を見る。確かに尻尾でもあったら思いっきり振っていそうな、そんな一の嬉しそうな顔。耳と尻尾を安易に想像できてしまい、笑いがこみ上げてくる。


「ふふ、良いじゃない。可愛らしくて。」


同意されると思っていなかった翼と瞬はの言葉に、ため息をつき各々の行動へと移った。

惚気ていいですか

もう十分惚気られているので結構です。





title by M. / 惚気ていいですか