「もう、何でこんな事になってるのよ。」


未だに寝ている翼の頭を撫でながら、薬の入っていない紅茶を飲む。頭を撫でている翼も小さくなってしまった1人であった。普段なら私より大きいはずの手も今は私の手で翼の手を包み込めるくらいの大きさになってしまっている。

バカサイユに来てみたら、翼はもうこの姿でソファに寝ていた。訳が分かるはずもなく、永田さんに事情を聞くとどうやら瑞希が真壁財閥の薬を改良したらしく、それを翼が飲んだ結果がこれだろいうのだ。こんなことを信じるのは難しいのだが、現にこうして翼が小さくなっているのだから信じないわけにはいかない。


「(それにしても、)」


顔をよく見ると、それはやはり幼くなっていて子どもさながらの寝顔が目に映る。可愛いなんて思っていると、翼が身動ぎをして、ゆっくりとその目を開ける。どうやら目が覚めたようだ。


「ん、」


目を擦りながら身体を起こして、私を見上げる翼。その顔はとても不思議そうだった。


「   おねえちゃん、だれ?」
「私はっていうの。」
?」


そういえば、幼児化すると記憶がなくなるとか言っていた気がする。私の名前に覚えがないようで、少し怯えたような目でこちらを見る。そんな翼に微笑みながら頭を撫でる。触れた瞬間はびくっと震えてはいたけれど、緊張が解けたのか次第に翼の顔に笑顔が見えてくる。どうやら、感覚的には私の事を覚えてくれているようだった。(そういえば、よく頭撫でてたっけ。)


、おひざの上にのってもいい?」
「ふふ、いいよ。」
「っ、ほんとう!?」
「うん、ほら、おいで?」


私の隣に座っていた翼はとても嬉しそうな顔をして、私の膝に座ってきた。翼を後ろから抱きしめるように手をお腹のところに回すと、「へへ、」 と少し照れながらも笑って私の手を握ってきた。(ああもう、どうしよう。)


さん、」
「永田さん?どうかしました?」
「翼様と一緒に、家へ来ていただけませんでしょうか?」


その方が翼様も喜ばれるでしょうし、私も大変助かるのですが、  そんな事を言われる。運の良い事に明日から休みに入るし、確かに永田さんも翼にずっと付きっきりなわけにもいかないだろう。翼が独りになってしまう可能性を考えたら、私がいた方がきっと安心なんだろう。子どもというのは好奇心旺盛だから、1人で外なんかに行ってしまったりなんかしたら大変だ。(こんなに可愛い子、ほっとくわけがない。)


「翼、あなたのお家に泊まってもいいかしら?」
「え!、おとまりに来てくれるの?」


そう尋ねると翼は身体を私の方へと半回転させて、きらきらとこども特有の目をこちらに向けてきた。「うん、翼が良かったらそうしたいな。」 なんて言うと溢れんばかりの笑顔で飛びつくように抱きついてきた。


「やったあ!がおとまりに来てくれる!!」 


そう言って嬉しそうに抱きついてくるもんだから、危うく頬にキスを落としそうになってしまった。ああでも、照れた彼も可愛いだろうな。(子どもは可愛いものだと母さん達は言っていたけどこんな気持ちだったのだろうか。)

まずはかわいがってきにいってもらいましょう

ながた!がおとまりに来るって!!   はい。良かったですね、翼様。   へへ、うん!   ああ可愛い。(ぎゅう)   ? 


title by リライト / まずはかわいがってきにいってもらいましょう(珍獣の飼い方10の基本)