「ンフッ、それはどうも。」
「あー!てんてんだけずっるーい!ぼくも、ぼくもー!」
「ちょちょっ、やっくんまで登られたらさすがにオレもっ!!」
わいわいと、いつものように賑やかなアホサイユ。けれどそのいつもの中にもおかしなところがあったりするのだけれど、それを感じさせないほど、小さくなってしまった天十郎がずいぶんと馴染んだものになっていた。
「天ったら本当に楽しそうね。」
「・・・あれを同じ年で相手をしていた俺の身になって欲しいものだが。」
「ふふ、まあ、確かにあの天と一緒に遊んでいたら、体力はつく、かな?」
「体力がつくどころの話じゃないだろう。」
私の隣で深く息を吐き出している千聖を横目に、向かい側で遊んでいる3人を見やる。もともと天十郎は人見知りをしないから、3人ともすぐに打ち解けていった。今もアラタの肩へと乗っていつもよりも高い視界を楽しそうに眺めていた。八雲がアラタの身体を揺らしても怖がること無く、それすらも楽しんでいる様子だったから、その笑顔を見ていると、ついつい自分の顔も緩めてしまう。
「くあ、お前も物好きだな。」
「あら、失礼ね。あんな天を可愛いと思わない訳がないでしょう?」
千聖のその言葉に笑いながら返答していれば、「ーっ!おれさま、たかくなったぞ!」なんて天十郎が手を振ってくれるから、「ふふ、素敵ね。」 なんて顔を緩めたままで手を振り返す。けれど、天十郎は私がそう言葉を返すと、何故だかきょとんと不思議そうな顔を浮かべた。しばらくその格好のまま、彼が固まったかと思っていれば、急にアラタの肩から降りてきて、こちらへとぱたぱたと向かってきて、
「天、どうしたの?あれだけ楽しそうに、」
「 っ、だっこ!」
「? ええ、もちろん、それは構わないけど、」
私の言葉を聞いているのかそうでないのか、けれど天十郎に小さくなったその腕を自分の方へと向かって出されてしまえば、それに自分の手を伸ばさないわけにもいかなくて。ひょいっとずいぶんと軽くなった天十郎を抱き上げて、自分の足へと乗せれば、嬉しそうに笑みを浮かべてその身体をめいいっぱい使って抱きついてきてくれるから、
「ふふ、どうしたの、天?」
「あのな、アラタのたっけーのも好きだけどなっ、」
抱きついてきた天十郎の頭をゆるゆると撫でながら、その温かさに浸っていれば、むくっと顔を上げてきた彼が、「、っ!!」 なんてひどく楽しそうに、嬉しそうに、私の名前を紡いでくれるから、その大きな瞳に自分のそれを合わせれば、
「でも、にぎゅーってされるのが、いちばん好きなんだからな!」
その愛しい声で紡がれた何とも愛らしいその言葉に、再度抱きついてくれるその動作に、なけなしながらも残っていたその理性が、いい音を立てて切れるのを、私の耳は聞き取った。(だって、これは・・・ねえ?)