「   天十郎、なの?」
「ん?おめえ、だれだ?」


斑目先生から天十郎が小さくなってしまったなんて訳の分からない連絡をもらったから、とりあえずアホサイユへと足を運んでみると、そこにいるのは本当に小さくなってしまったと思われる彼の姿。「すぐに、元通り。それまでよろしく。」 なんて彼が小さくなってしまった原因を作った張本人はその言葉を残してアホサイユを後にしてしまう。


「私はっていうの。貴方のお名前を教えてくれる?」
「おう! おれさまは、なるみやてんじゅうろうでぃ!!」


声は若干高いものの声質や口調はそのものであるし、何より子どもの時の彼そのままであるあたり、この小さい子どもは天十郎で間違いないのだろう。斑目先生はすぐに戻ると言っていたけれど、どのくらいなのだろうなんて考えながら、近づいてきた天十郎の頭を撫でてみれば嬉しそうに笑みを浮かべてくれる(あー、これは、)


「へへっ、!!」
「うん?どうしたの、天十郎?」
「ぎゅーって、してもいいかっ?」
「ふふ、もちろん。ほら、おいで?」


彼の視線に自分のそれを合わせるように膝を折ってそう言葉を返すと、彼は嬉しそうに目を輝かせて私の元へと飛び込んできた。「あったけぇな!」 なんて満面の笑みで言ってくれる天十郎を見ると、これからどうしようか、なんて考えていたのにそれを忘れそうになってしまう。このまま家に帰っても良いのだけれど、確か十兵衛さんも恵衣子さんも仕事で2,3日家を留守にすると言っていたような気がする。


「うーん、ひらがな組の人に任せても良いけれど、子ども時を思い出すと何だか気が引けるしなあ(写真見ても、記憶を辿ってみても、疲れ果てた彼らしか思い出せないものねえ。)」
「   ?」
「千聖も明日は補習だって真奈美さんが言っていたし・・・」
っ!!」
「わ、  天?」


天十郎を抱き上げたままこれからの事を思案していると、私の名前を呼んで抱きついてくる力を強くしてくる。そんな彼にどうしたの、と声をかけてみれば、 「といっしょがいいっ。」なんて可愛らしい声で言葉が返ってきて。


「天?どうしてそう思ったの?」
「    だって、が、」


どうやら先程の言葉の意味は完全に理解できなかったものの、私と離れてしまうことだけは直感で分かったようで。「おれさまはといっしょにいたいんでぃ!」 そう言って言葉を紡いで必死に離れまいとしてくる天十郎の目が少し潤んでいるのを見た私には首を横に振る術なんかもう残っていなくて(たぶん、これを見なくとも術なんか残っていなかっただろうけれど)


「ふふ、じゃあ、今日は天のおうちに泊まっても良いかしら?」
「っ!!ほんとうかっ!?」
「ええ、天が良かったら、だけど。」
「   えっと、」


私がその言葉を言った途端に、首元に埋めていた顔を勢いよく上げてこちらを見てくる天十郎。そんな姿に微笑ましさを感じながら再度返事をすると、今度は少し不安そうにこちらを見上げてくる。何か言いたそうな顔をしていたから「ほら、言ってみて?」 と優しく頭を撫でながら彼を安心させるように笑みを向けると、何とも可愛らしい言葉が返ってきた。(ああもう、この子ったら)


「    い、いっしょに寝ても、おこらねぇ?」

まずはかわいがってきにいってもらいましょう

ふふ、怒らないわよ?一緒に寝よっか。    っ、おう!!いっしょにねるっ!  ふふ、楽しみね?    まくらも、はんぶんこするんだからなっ!     もう、天ったら。(可愛いなあもう。)





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