「 わ、(ずいぶんと、また大きいものを、)」
悠里先生とお話をしてバカサイユへと向かえば、最初に視界に入ってきたのは大きなひな壇とそこに置かれつつある人形であって。その近くで、悟郎と一が何やら一緒に楽しそうに人形やら何やらと準備している姿が見えて、ああ、今日はひな祭りだったっけ、なんて事を今更ながらに思い出していれば、後ろを振り返った一とかちりと目が合ったから、
「あ、ーっ!!」
「ふふ、一、いい子で待ってくれた?」
「うん!おれ、いいこだったよ!」
姿を捉えると嬉しそうな笑みをこちらに向けてぱたぱたと走って私の方にやってきてくれた一へと、視線を合わすようにしてしゃがみ込んで、突進のようなそれを受け止めてそんな会話をする。「そっか、えらいえらい。」なんて私も思わず笑みを浮かべてしまいながら、彼の頭をゆるゆると撫でれば、「えへへ、っ。」なんて言いながら、抱きついてきてくれるものだから、ついつい、抱きしめ返してしまって。
「ー!もゴロちゃんと一と準備しようよ!!そっちの方が嬉しいよね、一!」
「うん!ごろーとと一緒にじゅんびする!」
「ふふ、そうしよっか。」
「早く、早く!」 くいくいと私の腕を懸命に引きながら、一はひな人形の置いてある場所へと連れて行ってくれた。それから、3人で残りの人形を壊さないようにそっと壇へと置いていく作業を繰り返していた、そんな最中、一が思い出したように「あ!」と声を出して私の方へとくるっとその愛らしい顔を向けてきてきたから、「どうしたの、一?」なんて声をかけると、
「おにんぎょさんしまい忘れると、およめさんに、行けなくなるって、ほんと?」
「あー、それは迷信って聞いた事があるけど・・・」
「めいしん??」
「何で、っていう理由は分からないけど、信じている人もいる話の事、かな?」
少し難しかったかな、と思いながらも、時間を掛けながら一は何とか理解してくれたらしく、「そうなのか?」 と不思議そうに声を出しながら、途中で開けてしまっていたひなあられをぱくぱくと食べる。すると、「えー、ゴロちゃんはほんとだと思うよー?」 とひな壇に人形を置きながら悟郎がそんな事を言ってきて。それを聞いていた一は、私の方へと今度は立ち上がって近づいてきて、ぽすんと、私の足の上へと座って、顔を上げて、
「ほんとでも、おれがをおよめさんにもらうから、大丈夫だぞ!!」
「おれが、を幸せにするんだ!」 なんて満面の笑みで言ってくる一に、ひどく愛おしさを感じてしまって、溢れ出るそれらを抑える事なんて、もちろん私にはできなくて、(ああ、 もう、)
頼もしい小さな騎士さん。
ふふ、ありがとう、一。とっても嬉しいわ。 ほんと?もうれしい?? ええ、ほんと。私をお嫁さんにしてくれるの? うん!!おれ、がおよめさんが良いっ! ふふ、もう、一ったら。 ちょっとー、ゴロちゃんもいるんですけどー。(もうっ、ってば!)