「ちゃん、は、一君がっ!!」
「悠ちゃん?一がどうかしたの?」
「タマを追いかけてどこかに行っちゃったの!」
一が小さくなってしまった翌日、悠ちゃんに知らせに学校へ行った。そのついでに本を返してしまおうと小さくなった一を満面の笑みで抱きしめている悠ちゃんに任せてそれを返しにいったは良いのだけれど、バカサイユへの戻り際に走ってきた悠ちゃんにそんなことを言われた。
「タマと一が?」
「ええ、補習のプリントに少し目を向けていたら・・・ごめんねっ!」
「ふふ、謝らなくても良いのよ悠ちゃん。タマも一緒なんでしょう?」
「? ええ、タマもいなくなっていたから。」
慌てた様子でそれでも自分の所為だと謝る悠ちゃんに笑みを浮かべて確認する。タマがいるならきっと校内からは出させないだろうし、もしかしたら知っている人の所へと行き着いているかもしれない。悠ちゃんにその事を言うと安心した様子でようやく笑顔を見せてくれた。(やっぱり悠ちゃんは笑顔が一番可愛い。)
「そのうち、一の方が私達を見つけてくれるわ。」
「 あ、!!」
「ふふ。ほら、ね?」
「一君っ!!」
言っている側から聞こえてきた一の声。その声がする方へと体を向けるけれど、小さくなった一のいるはずの目線に合わせてもそこに彼の姿は見当たらなくて、代わりにそこにはスーツのズボンとタマの姿だけが映る。そこから上へ上へと視線を上げると、そこには抱っこしてもらって嬉しそうな顔をする一の姿と鳳先生の姿。
「鳳先生?」
「草薙君が職員室に迷い込んだみたいでね。泣いてしまいそうな顔で私の服を引っ張ってきたから、ここまで連れてきたんだよ。」
「鳳先生、ありがとうございますっ!!ああもう、一君びっくりしたんだから・・・」
「っ!!」
鳳先生が一を下ろすと、悠ちゃんの言葉を聞かずにそのまま突進するように私の足へと抱きついてきた。名前を呼んでもただ抱きつく力を強めるばかりで返事をしてくれないから、彼と同じ視線になるようにしゃがみ込んで安心させるように頭をそっと撫でる。
「一、どうしたの?」
「 かってに出ちゃって、ごめんなさい。」
「タマもとちゅうで、いなくなっちゃって、」ちいさくちいさく聞こえてきたその言葉。1人でいて怖かったのだろう、一はそう言うとまた思いきり私に抱きついてきた。ちゃんと謝ってからそれを言う辺り、きっと鳳先生がここへ来る途中で言ってくれたのだろうことが窺えた。先生の方を見ると優しく微笑んで私達を見ていた。
「もう勝手に1人でどこかへ言っては駄目よ?」
「 うん、ごめんなさい。」
「ふふ、よく1人で頑張ったね。」
「 っ、」
そう言って彼を抱き上げると、先程までひどく悲しそうで泣きそうな顔をしていた彼のそれにようやく笑みが見え始めて。「おれ、もうからはなれない!」 なんてぎゅうっとしがみついて満面の笑みを向けてそう言われたものだから、思わず愛おしさがこみ上げてしまって頬に口付けを1つ落としてしまった。(もう、愛おしくて仕方がない。)
だっそうにきをつけましょう
おや、これは妬けてしまうね? お、鳳先生?相手は子どもですから、ね? いや、いくら子どもと言えど中身は草薙君だよ。だったら、負けてられないね? ほら、一。鳳先生にもお礼を言わなくちゃ、ね? うん!あんがと、おじちゃん!! お、おじっ?! は、一君っ!!もう、子どもだからって言って良い事を悪い事があるでしょう!?ああ、鳳先生、先生は充分にお若い顔立ちをされていますよ、ね? (悠ちゃん、それは慰めになっていない気がするんだけど)
title by リライト / だっそうにきをつけましょう(珍獣の飼い方10の基本)