「縁側からの景色がよく映える。」 桜の木が緑色を見せ始めた季節に、俺はいつものように不破家へとお邪魔していた。せっかくの天気だからと、温かい日差しが差し込む縁側に腰を落ち着けて、ゆったりと休日を過ごしていた俺は口に入れた和菓子に舌鼓を打ちながらそんな事を口に出す。
「 千聖もそう思うだろう?」
「・・・ああ、そうだな。たまにはこうしてゆっくりするのも悪くない。」
「・・・お前と2人きりなら、俺もそう思ったんだがな。」 顔に笑みを浮かべて庭を見ていた俺の隣でそう声を漏らしたのはその和菓子を持ってきてくれた本人の千聖である。拗ねるなんて言ったら千聖が怒るけれど、あからさまに不機嫌な色が見えるその声へと返事をしてくる。そして彼の目は俺の足の方へと向いて、
「・・・なぜそこに天がいるんだ。」
彼の視線の先には俺の脚を枕にして寝ている天十郎の姿があった。千聖が座っていない方で足をめいいっぱいに伸ばして気持ちよさそうに寝ている彼が何だか微笑ましく思えて、頭をゆるゆると撫でる。すると、「ん、 へへ、」なんて、天十郎は嬉しそうに笑みを浮かべてくれた。
「ふふ、麗らかな春の陽気に当てられたんだろうね、きっと。」
「・・・春の陽気にかかわらず、どの季節でも俺はこの光景を見たことがあるんだが。」
「ん、そうだったかい? ああ、ほら、そんなに眉間に皺を寄せてると跡が付いてしまうよ。」
「ああ、そうだ。」
「・・・は天を甘やかし過ぎる。」 千聖の眉間へと手を伸ばしてそこを撫でながら返事していれば、その手をゆるりと彼の指に捕まえられた。言葉でわざわざ示さなくても、天ではなく俺を甘やかせと言外に言われている事が分かるから、彼の口元へと寄せられた自分の指を彼の頬へと滑らせる。
「ふふ、すまない。天十郎にお願いをされると、どうも弱くて。」
「・・・そうやってお前が甘やかすから、天も俺が怒った時はお前の所に逃げれば良いと思っているんだぞ。・・・お前はいつも天の肩を持つ。」
「そうか?天十郎が悪い時はちゃんと叱ってるだろう?」
「・・・お前のあれは叱ってるとは言えん。」
「あれでは天がいつまで経っても反省しない。」 寝ているとは言っても本人がいる目の前で、そんな会話をする千聖と俺。こうして話をしていると、何だか子供の教育方針を話し合っているようにも思えてしまって、千聖の眉間の皺がまだ寄ったままだというのに、つい、顔が緩んでしまう。そんな俺の様子を見ていた千聖が無言で俺を見てくるから、
「ふふ、いや、すまない。ちょっと、このやりとりをしていると、」
「??」
「我が子の事で話し合ってる夫婦みたいだな、なんて思ってね。」
「 ふうふ、」 俺の思わぬ言葉に、千聖は目を丸くしてオウム返しをすることしかできなかったようで。けれど、その言葉の意味を理解した途端、顔に浮かんでいた不機嫌な色が瞬く間に消えて、代わりに浮かんだのはそれとは真反対の、
「 こんな子どもはいらんが、」
「またそんな事を言って、」
「そうだな、が俺の奥さんなら天が俺達の子どもでも我慢できるかも知れん。」
「おくさ・・・子ども云々の前に、まず、俺は奥さんと言われる性別じゃないぞ?」
「ああ、もちろん知っている。 だが、」
「お前は俺の奥さんだ。」 ・・・俺がどう言おうとも、どうやらその言葉は変更する気がないらしい。えらく嬉しそうな笑みを浮かべて、再度俺の手を捕まえたかと思ったら、もう一方の手を俺の頬に添えて、ゆるりとその顔を近づけてきたかと思えば、
「ん、 こら、千聖、 てん、」
「 天ならしばらくは起きん。お前の膝で寝るといつもそうだからな。」
俺の真下には天十郎がいるというのに、何を気にするでもなく、繰り返し俺の唇を自分のそれで啄んだ。だいたい、しばらく起きないなんてどこにそんな根拠が、そうやって咎めたいのに、それを遮るように塞がれてしまって、呼吸が少し乱れた頃、ようやくその唇がゆっくりと離れて、「 それに、」
「天が起きていようと、俺は構わん。」
「を愛しいと思ったから、接吻したんだ。 いけなかったか?」 なんて、耳元で、心地良く響く俺の大好きなその声で、ひどくずるい訊き方をしてくるものだから、
縁側のネコ
「 仕方のない恋人だな、君は、」 なんて顔を緩めてしまいながら、彼の唇に再度自分のそれを重ねてしまうのだ。
requested by 匿名さま
千聖で男主!ビタミソで男主のリクエストをいただけてとても嬉しくて、異常なテンションのままに書いてしまいました・・・!orz し、しかし、どうにかこうにか妄想が駄々漏れた気持ち悪い小説にならないように、甘いのを目指して頑張ったのですが、い、いかがでしたでしょうかっ?
奥さんのところを嫁にしようかなあとも思ったのですが、嫁だと天ちゃんとかぶるかなあと思って止めました。というかちーちゃんに奥さんって言って欲しかったのです、私が(おまえ) す、少しでも楽しんでいただけたらこれ幸いですっ。素敵なリクエストをありがとうございました!
千聖で男主!ビタミソで男主のリクエストをいただけてとても嬉しくて、異常なテンションのままに書いてしまいました・・・!orz し、しかし、どうにかこうにか妄想が駄々漏れた気持ち悪い小説にならないように、甘いのを目指して頑張ったのですが、い、いかがでしたでしょうかっ?
奥さんのところを嫁にしようかなあとも思ったのですが、嫁だと天ちゃんとかぶるかなあと思って止めました。というかちーちゃんに奥さんって言って欲しかったのです、私が(おまえ) す、少しでも楽しんでいただけたらこれ幸いですっ。素敵なリクエストをありがとうございました!
title by Lump / 縁側のネコ(優しい恋人と5題)