は、温かいな。」
「ふふ、そう?」
「ああ、この俺が言うんだから間違いない。」


寒い、なんて一言を呟いた翼が私の足へと頭を降ろして猫よろしくごろごろとし始めて、かれこれ1時間程は経っただろうか。まるで猫そのものである彼の姿に、そういえば半分猫だった、なんて事を今更ながらに思い出して、完全に人間だったらありえないところにあるその耳へと指を伸ばしてくるりと撫でる。


「寒くなってきたから、風邪をひかないようにしないとね。」


そんな事を言いながら今度は首元へと手を降ろせば、おそらく無意識なんだろう、彼の喉奥から、ごろごろなんて音が聞こえてくるものだから、思わず笑みを浮かべてしまう。明日も休みだし、翼の寒さ対策のお買い物にでも行こうかしら?寒さが通り過ぎてからこの家に彼が来たから、防寒対策は全くしていなかったし。


「えーと、布団も増やした方が良いわよね。それから・・・何がいるかしら?」
「・・・何の話だ?」
「ふふ、翼の寒さ対策の話よ。本格的に寒くなる前に準備しないとね。」


「何か欲しいものがあったら言ってくれると嬉しいわ。」 ぽつりと呟いた独り言をしっかりと聞き取っていたらしい、ぴくりと頭の上にあるそちらの耳を動かして、翼は不思議そうに訊ねてきた。防寒対策へと考えを向けていたから彼を撫でていた手を止めてしまっていたけれど、訊ねてきた翼が、止めるな、と言わんばかりに頬を手へと擦り寄せてくるものだから、今以上に顔をゆるゆると緩めてしまいつつ、再度、彼の首元へと手を滑らせた。


「フム、寒さ対策か・・・」
「ええ。何か思い浮かんだ?」


くるりと身体を仰向けにして、何やら考えてくれているらしい翼。そんな彼の様子を見ながら、自分でも何が必要かを考える。ああ、そういえば、風邪薬はあったかしら。切らしていたかも知れない。・・・いや、でも半分猫な彼に人間の風邪薬は効くのかしら・・・。

そんな事を考えていれば、どうやら何か思いついたらしい。ぼーっとしていた私の目が、「、」と紡いでくれる彼へと焦点を合わせる。視線があった彼のその目が、なんだか楽しそうな、その色を浮かばせながら細められるのをしっかりと見てしまって。


「寝る時の寒さ対策なら、布団を増やすよりも良い方法があるぞ?」
「あら、何かしら?」


声を弾ませながら、ゆるりと私の顔へと手を伸ばして、頬へと滑らせたかと思えば、


「人を温めるには、人肌が一番と聞く。」
「・・・うん? ちょっと、翼、」
「それなら、俺がを温めて、が俺を温めれば良いと思わないか?」


「まあ、俺は半分猫だが。」 いつの間にか身体を起こした彼が、翼の言葉に口を出そうとする私の口を自分のそれで塞ぎつつも、そんな言葉を続けざまに紡いでくる。そんな彼の言い分に、少し、ほんの少しだけ、心が揺れてしまう。でもやっぱり、さすがに毎日1人用の狭いベッドの中で2人となると・・・なんてさらに言葉を入れようと私が再度、口を開こうと、・・・するのだけれど、「・・・それに、」


「そうすれば、と一緒にいる時間が、今までよりも長くなるだろう?」


「・・・は、嬉しくないのか?」 そんな風に紡がれてしまえば、愛しい彼にそんな事を言われながら抱きつかれてしまえば、私が出す答えなんて、もう1つしか、(ああもう、本当に、この子は、)

愛しくってしょうがない

擦り寄ってくるその身体が、紡がれるその声が、全て愛おしくて仕方がないから、




素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by ぴえろ様

title by リライト / 愛しくってしょうがない (「駄犬五題」)