か、書きたいキャラが複数になってしまったので、SSを突っ込む事に致しましたすみませんっ。


2こめ 千石清純 


「・・・うう、2連敗。アンラッキー。」


太陽が街中を容赦なく照らすそんなある日の昼下がり。その街の中で、平日のそんな時間に聞こえるはずのない、どうやら中学生らしいその橙色の髪を持った少年の声が響きわたった。けれどそんな落ち込んでいるような言葉も束の間、


「おおっ、可愛い子はっけーん!」


視界の端を過ぎったその人物を目敏く見つけた少年は、すぐにパッと顔を輝かせながら、何度目なのか分からないその言葉を紡いだ。「いやあ、やっぱり今日も俺ってラッキーだよね。」なんて言いながら喜ぶ少年は、同じ失敗は二度とすまいと人知れず意気込んだ。自分の後ろから、少年を探していた人物が近づいてきていた事に気付く事なく、


「よおしっ、次こそはっ!!」
「・・・清純は、左の女性の方を好みそうだな。」
「あー、やっぱり分かっちゃう?さっすがー、俺の事全部分かってくれっ・・・って、うわあっ!!!」


っ!? え、なっ、ええっ??」 少年の後ろから、まるで最初からそこにいたのかと思わせるような、そんなさりげない言動で現れたのは、どうやら少年が知っている人物であるらしかった。あまりの驚きに、先程まで目を凝らしていた女性からぐるんと身体を半回転させての方へと焦点を合わせてしまう。


「な、何でがここにいんのっ!?」
「・・・俺からしてみれば、何で清純がここにいるのかを訊きたいんだが。」


「・・・今日は練習をする前にミーティングをするって南が言っていただろう?」 混乱しながらもなんとかそう言葉を紡ぎ出した、その清純という名の少年に、はため息混じりにそんな言葉を返した。どうやら、彼らの学校は、今日は午前中で終わったらしく、彼らの所属しているテニス部はその時間を利用して月に一度のミーティングをしようという事になっていたようだ。・・・けれど、やはりミーティング、という身体を動かさない事には全く興味を示さない部員も、中には出てくる訳で。


「・・・そ、そうだったけー?」
「・・・誤魔化すならもっと上手く誤魔化せ。」


声は裏声、合っていたはずの視線はどこか別の場所へと逸らされる。そんな様子に呆れながら、「・・・この辺にいるだろうと踏んで来たんだが、正解だったな。」 なんては言葉を続けながら苦笑を漏らす。そんな言葉に、少年の顔がぱっと瞬時に輝いた。


「え、・・・もしかして、わざわざ俺のためにここまで迎えに来てくれたのっ?」
「・・・??ああ、そうだが。」
「ほんとっ!?」
「ああ、南にあれだけお願いされたら、断るわけにもいかないだろう?」
「うんうんっ!やっぱり俺って、愛されて・・・へ、?み、南??」


「な、何でそこで南の名前が出てくんの?」 ほんの数瞬前まで輝いていた顔はどこへやら。瞬く間にその顔が嬉しさとは真反対のその色を浮かべ始めた。百面相でも見ているようだ、なんては暢気にそんな事を思いながら、何故少年が不機嫌になっているのか全く理解することなく、彼の質問に答えた。


「何でって、南は俺達の部長だぞ? その部長に今回のミーティングは絶対参加だと言われたら、呼びに行かない訳にいかないだろう?」


当然だと言わんばかりに紡がれたその返答に、少年はぐさりと何かが自分の身体に刺さる音を聞いた気がした。つまりは、部長に言われたから、こうして迎えに(というよりも連れ戻しに、)来てくれたと。導かれたその真実に、何とも言えない寂しさ感じてしまい、「・・・うう、ひどい、」なんて両手で顔を覆いながら言うのだけれど、当人は何処吹く風で「ひどいのは絶対参加のミーティングをすっぽかす清純の方だと思うが?」と部長の方の肩を持つ始末。いや、元の元を辿っていけば、こんな虚しさを感じてしまう羽目になったのは、自分の所為なのだけれど。


「  ・・・清純?」


「  ほら、もう行くぞ?」 それでも、こうして彼がやってきてくれたのも事実であるわけで。いや、の場合、少年に会えるから、なんて下心のようなものは一切ないのだろうけれど、それでも、彼は俺を呼び戻すために学校からこの場所へと来てくれたのは、喜ぶべきものであるわけで。(それが、いくら部長からの頼み事であるとしても、だ。)
そうだ、よくよく考えれば、こうやって彼と2人きりになれたのはラッキーなのではないだろうか。デートの誘いは2連敗してしまったけれど、でもこうしてミーティングをすっぽかして街に出なければ、彼が迎えにくる事もなかった。


「ううっ、のいけずー!こうなったら、学校までとデートしちゃうもんねっ!!」
「は? お、おい、清純っ、」
「ほらっ、行っくよー!」


自分の中でそう考えが纏まると、少年の行動はとても速かった。顔を覆っていた手をぱっと取り、その手をそのままの勢いでの手へと伸ばす。それから、ぐいっと彼を自分の元へと引き寄せながら、慌てる彼を余所にそう言葉を紡いだ。

に、少年のような自覚があるのかは、とても怪しい限りだったけれど、


「   まったく、仕方のない奴だな。」


それでも、嬉しそうな笑みを浮かべる少年につられるようにして、どこか嬉しそうな、愛おしそうな声色で、そう言葉を紡ぐのだから、握られたその手へと離そうとするのではなく、ゆるりと少しだけ力を込めるのだから、少年の想いも、少しは報われているのかも知れない。


「清純、」
「んー?どうしたの、?」
「もう少し、南を労ってやれ。」
「・・・はい。」


・・・ほんの、少しは。

poco a poco

手から伝わる温かさはとても心地よいものであると、2人とも既に知っていて。


title by edona / poco a poco(ポーコ ア ポーコ)…少しずつ(music)



1こめ 芥川慈郎 Jr.選抜の合宿での設定


「・・・う、ん、」

暦の上では3月で季節は巡って春にはなったけれど、まだ寒いと思ってしまうのが現状で。練習をしている最中はそれほど感じることはないのだけれど、朝方の今なんて思わず布団の中で身体を丸め込んでしまうくらいに、本当に寒い・・・・・・はずなのだけれど、


「(・・・ん、?)」


少しだけ意識が浮上してゆるりと微睡んでいれば、何だか身体に違和感を覚える。その所為で、再度眠気に委ねようとしていた脳内を覚ましてしまった。


「(・・・寒く、ない?)」


何だろうと思う間もなく、その違和感が肌に感じるはずの冷たさが一向に自分の身体に襲ってこないからだという事にすぐに気付いた。それどころか、肌から伝わってくるのは、ひどく温かくて、心地よくて。

その温かさが身体を包んで、徐々に俺の身体に馴染んできてしまうものだから、思わず覚めていた脳内にそのまま寝てしまえと指令を送りそうになったけれど、温かさの原因が気になったから、閉じたままだった瞼をゆるりと開ければ、


「(・・・・・・案の定というか、何というか、)」


目の前に広がったのは、暗闇でも分かるくらいに綺麗な金色をしたその髪で。寝る時は、しっかりと自分の布団の中で既に眠っていた彼を確認してから眠ったはずなのに、今はこの有様だ。隣の布団に目を移せば、妙に皺もなく整った枕が少し寂しそうに見えてしまって、思わず苦笑してしまう。

1人用である布団へと無理矢理身体を入れ込んでいるはずなのに、布団からはみ出した部分がないのはそれだけ身体をくっつけているからだろう。胸元に埋められている顔を見やりながら、呼吸はできているんだろうかなんて不思議に思っていると、


「・・・んう、  ー、」


「ここ、きもちよくて、ねやすいよ、お、」 ぽつりと、いつも以上にゆっくりと舌足らずなそれで紡がれたそんな言葉は、果たして夢の中での事を言っているのか、それとも現実のこの状態の事を言っているのか。

夢の中でも彼は気持ちよさそうに寝ているのだろうか、なんて思いながら、その寝言につい笑みを零していれば、そんな言葉の後、背中に回された腕が強くなった気がして、胸元にある顔が心地よさそうに頬擦りをしてきた気がしたから、


「ふふ、 (俺も、その気持ちの良い場所とやらにお邪魔させてもらおうかな。)」


「おやすみ、 ジロー。」 溢れてきた笑みをそのままに、少し身じろぎをしただけでもふわりと揺れる触り心地の良いその髪へと顔を埋めて、俺は再度、夢の中へと、彼のいるであろうその場所へと行ける事を願いながらゆるりと瞼を下ろした。

Adagio

・・・ねえ。   ・・・何だ。   ・・・彼らはいつもこうやって寝てるのかい?    ・・・いつも、ではないと思うぜ、・・・確か。   ・・・いや、そこを突っ込んで欲しかったんじゃなくてね?



title by edona / Adagio(アダージョ)…ゆるやかに(music)
ほ、ほんと優柔不断ですみませんっ。しかし個人的にはにやにやし放題ですっ!テニプリは一度書いてみたかったのですっ(はふはふ)
す、素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by ノア様