「次、君の番です。」
「ああ、」


辺りが暗くなっても暑さがまったく和らぐことのない、そんな夏の、合宿場でのある日の夜。練習が終わった後、すぐさま風呂へと直行した俺達は、夕食の時間まで涼太が持ってきていたらしいトランプで暇つぶしをする事になったんだけれど、


「・・・適当に取ってるくせに何でんなに強いんだよ。」
「いや、そんな事を俺に言われても、だな。」


賭なしのポーカーやらブラックジャック、ババ抜きと色々混ぜながら繰り返しゲームをしていれば、隣から聞こえてきたのはそんな大輝のお小言で。そんな彼の言葉につい苦笑を漏らしながら返事をして、ヤマから1枚カードを取る。・・・あ、


「・・・コール。」
「はあッ!?」
「ええっ?またっちの勝ちっスか!?」
「・・・僕、ストレートフラッシュなんて、久しぶりに見ました。」


君が出すのを間近で見ていると半減しますよね、有り難みというか、珍しさというか。」 目の前に座っていたテツヤにすら、そんな小言をもらってしまいながら、こればっかりはどうしようも、と思いながらもそれを言葉にすることはなく、ただ笑う事で返事を返す。その笑いも、もちろん嬉しくて、というわけではないんだけれど。


「・・・ポーカーは駄目だな、ババ抜き方がまだ勝ち目ある。」
「そうですね、そっちにしましょう。」


大輝の言葉にすぐさまテツヤが反応して、カードを集め始めた。「もう、青峰っち、黒子っち!」なんて声を出す涼太を余所に、早々とカードを4人分に切り分け始める2人。バスケ以外にも発揮される2人のその負けず嫌いに、先程と同じような、いや、先程とは少し違ったような、笑みが顔に浮かんでしまった。そうして、配られたカードを手に取って、同じ数字を見つけようとカード眺めていれば、後ろから勢いよくのし掛かってきた、慣れてしまったその重さ。


「 う、 わっ、」
「・・・なに嬉しそうな顔してんのー?」


「お、トランプ?俺もやるー。」 のっそりと、俺の背中にそのやたらと大きい身体を預けきったまま、肩口から顔を出して俺の手の中にあったカードを見やって、そう言葉を口にする。最初こそ、呆然としていた俺だったけれど、手に落ちてきた1粒の水滴に、はっと我に返ると、もたれ掛かる彼の髪へとゆるりと手を伸ばして、口を開いた。


「・・・敦、また髪を乾かさずに、」
「だって面倒だし。」
「面倒でも、髪は乾かせ。風邪でもひいたらどうする。」
「んー、に看病してもらう。」
「・・・いや、そういう問題ではなくてだな、」


「なに、ババ抜き?あー、ポーカーとかするとバカみたいに強いもんねー。」 俺のそんな注意も全く注意として受け取る気がなさそうに、さもそれが正しい答えのように返事をする敦。そんな言葉に深く息を吐き出してしまいつつ、・・・というかバカみたいにとはなんだ。とついそんなところに突っ込みを入れそうになりながらも、話の軌道を変えないため、なんとかそれを抑えて、彼の首回りかけられていたタオルを抜き取った。


「ほら、髪拭くから、そこに座れ。これ、俺のカード。」
「ん、まかせてー。」


敦の腕を軽く叩きながらそう言葉を放って、俺の座っていた場所へと座らせる。それから俺の持っていたカードを渡して、その濡れたままの髪の上へとタオルをばさりとかぶせた。その上に手を置いて、ゆるゆると痛さを感じさせない程度に、けれど水の含んだその髪をしっかりと拭いていく。


「折角綺麗な髪をしてるんだ。もっと気を遣え。」
「俺、女じゃないし。それに今もが乾かしてくれてんじゃん。」
「髪が綺麗なのに男も女も関係あるか。いや、だから自分で乾かす習慣を・・・」


タオルからはみ出ている、思わず手を伸ばしてしまいたくなるその髪の毛へと、片手を休ませてつい一房、指に絡めてしまう。この長さの髪がすぐに乾く訳がないから少しだけそれは湿っていたけれど、湿っていたおかげで、いつも以上にその髪に艶があるように思えた。

その髪に触れている間もそんな会話をしていれば、俺が返事をしている最中に敦の手が、俺の、髪に絡ませていた手の方をゆるりと掴んで、それを、自分の口へと寄せるように(・・・ん??)


がしてくれないとやだ。」


えらく嬉しそうな笑みを、声を俺へと向けて響かせてきたのは、そんな、まるで子どものような言葉だった。
何だかんだ言って
・・・お前ら、ホント親子だよな。  あ、それ俺も思った!!  ・・・親子、  ええ−、違うし峰ちん、黄瀬ちん。俺ら恋人ー。   ・・・いや、敦、そういう問題でもない気が、  どうみても親子ですよ。手の掛かるどうしようもない子供と甲斐甲斐しく世話をする優しくて、かなり甘やかし過ぎな親のようです。    うわー、黒ちんまでそんな事言うし。しかも何か俺の扱いひどい。  (・・・俺には何だか棘が入っていた気がするんだが。)


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title by リライト / 何だかんだ言って(腐れ縁な二人へ10の御題)