「・・・こんなとこで何やってんだお前。」
「んあ?ああ、テツに火神か。」
黒子とストバスをしようとその場所へと向かっていれば、スーパーへと入ろうとしている青峰を見かけて。いつものようにと一緒なら、青峰とスーパー、っつうひどい違和感は薄まるんだが、何故だか今日はあいつ1人らしい。いつもセットでいるはずの(特にスーパーに行く時とかだ)がいないことに、俺と黒子はえらく驚きながら青峰に近づいた。
「こんばんは、青峰君。」
「おー。何だ、2人でストバス行くのか?」
「はい、そのつもりです。青峰君も一緒にどうですか?」
「あー、・・・行きてえのは山々なんだが、今日は止めとく。」
「・・・は、はあっ!?」
「んだよ、うっせえなあ。」
思わず出てしまった大声に顔をしかめながら文句を言う青峰。けど、仕方がねえだろ!だって、あの青峰が、俺も人のこと言えねえが、バスケだけあれば良いと当たり前のように言うあのバスケ馬鹿の青峰が、ストバスに誘って来ないなんて、驚くに決まってんだろうが!あまりの驚きに開いた口を塞げないでいると、俺の横から「 もしかして、」と、何やらピンと来たらしい黒子が言葉を紡いで、
「・・・君に何かあったんですか?」
「あー、ちょっとな、風邪こじらせたんだよ。学校も今日は休んだしな。」
「だからちょっと買い物に来たんだよ。」 と青峰が首に手を当てながらそう放った言葉に、俺はようやく理解して。・・・あー、だからスーパーに1人で来た上に、ストバスも行けねえっつったのか。・・・つうか、よく考えて見なくとも、こいつがもしバスケ以外で優先するモンがあるとすれば、しかいないじゃないか。
「っつー訳だから、今日はストバス行けねえわ。」
「また今度なー。」 俺がそんな事を考えていると、青峰はそう言葉を続けて、似合わないエコバッグを提げながらスーパーの中へと入っていこうとする・・・と、黒子がその腕をがしっと掴んで。(・・・あー、やっぱりそうなるか。まあ、心配なのは俺も同じだから良いんだが。)
「僕達もお見舞いに行きます。ね、火神君。」
「 そうだな、心配だしな。」
「・・・言うと思ったぜ。来ても構わねえけど、あんま長居すんなよ。」
「俺がに小言言われんだから。」 ほら、さっさと買い物済ませるぞ。青峰のそんな声を聞きながら、俺達はストバスの予定をの見舞いに切り替えて、青峰と一緒にスーパーへと足を運んだのだった
***
「のやつ、風邪ひいたら食欲無くなんだよな・・・」
「・・・さて、どうすっか。」 独り言のようにそんな事を呟きながらも、青峰は果物やらゼリーやらドリンクやら、それに病人食に必要な具材を迷うことなくカゴの中へと入れていく。「・・・君の事になると、青峰君は意外な才能を発揮するんですよ。」いつだか、黒子が言っていたその言葉を思い出しながら、俺は今、目の当たりにしているそれを、再度驚いてしまいつつ青峰へと視線を向けていた。
「君の両親は仕事ですか?」
「おー、今週は海外に行ってんだ。も風邪ひいたとか言ってねえから、今は家に1人なんだよ。」
「それで、青峰君がご飯を作りに、という訳ですか。」
「ああ、に言われた通り学校も練習もしてきたしな。」
「本当は風邪がうつるからバスケの後も来んなって言われてんだけどなー。」・・・なんて、黒子は普通に会話を続けているが、俺はまず、こいつが料理なんてものをする事に目を丸くしていた。・・・え、青峰って料理できたのか?が作ってんのを味見してんのは何度も見たことあるけど・・・こいつ自身が作るのか?
「・・・お前、料理できたのか?」
「ああ? あー、ほどじゃねえけどな。」
「意外と出来るんですよ、この人。見た目ではゲテモノ料理のようなものしか作れなさそうですけどね。」
「・・・おい、」
気付けば口にしていたその問いに青峰は当たり前のように肯定した。に任せっきりで全くできないものだと思っていたら、どうやら違ったらしい。意外すぎるその一面に、でもあれだけ近くでずっとの作る様子を見てたら、少しくらい作れてもおかしくはねえのか?なんて俺が少しだけ納得をしている一方で、青峰は自分でもそれに自覚があるのか、黒子の言葉に一言だけ突っ込みを入れてから、カゴの中を覗き込んだ。
「うし、こんなもんだろ。」
「会計してくっから、外で待っとけ。」 俺達にそう声をかけると俺達が返事をする間も与えてくれないままに、青峰はそのままレジの方へと向かってしまったから、俺達はそのままスーパーの外へと出て、あいつを待つことになった、んだが、・・・なんつうか、やっぱりあいつ、が絡んでくると、
「意外、でしたか?」
「・・・それ以外の何物でもないだろ。」
「あいつと料理とか、全く結びつかねえよ。」 黒子の言葉に正直に返事をすれば、笑い声が返ってくる。「見た目で言えば、君も人のことは言えませんけど、」なんて最初に妙に引っ掛かる言葉を吐きながら、黒子はゆるりと穏やかなその声で続けた。「前にも言った事があると思いますが、」
「君のこととなると、青峰君はあれが通常になるんですよ。」
「端から見れば、それは君だけに見せる優しさに見えて、違和感だらけなんでしょうけど。」 笑みを浮かべてそう放った黒子の言うとおり、俺も最初はそうだったのだ。ストバスの最中に出会った時のあいつからは全く想像がつかないそれが、偶々、と出会った後には当たり前のように見せるもんだから、もうあいつのその変化に違和感以外に何も生まれてこなかった・・・はずなのに、
「・・・違和感に慣れてきた自分が嫌だぜ。」
「ふふ、僕達の仲間入りですね。」
「・・・嬉しくねえ。」
そう、その違和感は以前と比べて、今ではすっかり薄まってきてしまった自覚があるのだ。今日のように驚くことはまだまだあるが、それでも最後には、まあ、が絡んでんだから、とそれで納得するようになってしまった自分がいて、(・・・慣れってのは怖いぜ、全く、)
「ふふ、それでいて当の本人は無意識ですからね。」
「見ているこっちの身にもなって欲しいですよね。」 なんて、言葉ではそんな事を言っているが、黒子のその顔が何故だか嬉しそうなその色が浮かんでいることくらい、俺にも十分伝わってきて。無意識に違和感丸出しの行動を当たり前のようにする2人も2人だが、それを端から微笑ましそうに見てしまっているキセキの連中も、
「・・・ホント、変な連中ばっかだよな、お前らキセキの奴らは。」
なんて、つい零れてしまった俺のそんな言葉に「それはそれは。ふふ、光栄です。」なんて黒子が言うのを聞きながら、スーパーから出てきた青峰を視界に捉えたのだった。
Sotto voce
「さっさと帰るぞ。どうせ寝てりゃ治るとか思って何もしてねえからな、のやつ。」なんて言う青峰の後を俺達はついていった。
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title by edona / sotto voce(ソット ボーチェ / 声を柔らげてひそやかに)(music)
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