「みんな、よろしく頼むね。」


結局、黄瀬君に火神君、そして僕は君の家に泊まることになり、そして晩ご飯は桃井さんも入れた6人で食べる事になった僕達は今、総出でスーパーへと来ていた。僕と桃井さんはお菓子を、黄瀬君と火神君は飲み物を、そして青峰君と君は鍋の材料を。というふうに分かれてスーパーを回っていたのだけれど、


「桃井さん、これくらいで良いですかね?」
「う、うんっ!!良いと思うよ!」
「あ、これも入れておきますか?桃井さん好きでしたよね。」
「!!あ、ありがとうっ!(て、テツ君が私の好きなお菓子をっ。)」


結構な量のお菓子をカゴに詰めていると、黄瀬君と火神君が僕達を見つけてくれて。後は彼らだ、と4人で歩いて入れば、前方にやたらと背の高い(僕達と一緒にいる2人ももちろん高いのだけれど。)男2人が野菜とにらめっこをしていて。


「・・・大輝、どっちの鮮度が良いと思う?」
「ん?あー…、こっちだな。」
「ふふ、ありがとう。」


正確に言えば、真剣に見ているのは1人で、もう1人は絞られた2つのどちらかに指を差すという事をしているだけなのだけれど。(・・・本当に真剣に選んでいるのだろうかとも思うけれど、青峰君なら野生の勘か何かで新鮮な方を選んでそうだ。)それがどうやら最後の野菜だったらしい。それを青峰君が持っているカゴの中へとそっと入れた君がすっと視線をこちらに向けてくれて、ゆるりと微笑んでくれた。


「ああ、みんな。手伝ってくれてありがとう。」


「本当なら、買い物くらい俺と大輝で行けば良かったんだけれど、」そんな君の言葉を受けながら、僕達の足は最後のお肉・お魚コーナーと書かれてある場所へと向けられる。ゆるりと魚に手を伸ばした君の隣で、青峰君もそれを覗き込んだ。


「僕達がお世話になるんですから、これくらいは当たり前ですよ。」
「そうっスよ!料理は俺も黒子っちも桃っちも無理っスけど、買い物くらいは手伝わないと!あ、でも火神っちはキッチンにもちゃんと立つっスからね!」
「ちょっときーちゃん!何でそこに私の名前が入るのよっ!」
「あっ、いやいやそれは・・・!」


黄瀬君に桃井さんの会話を聞いて微笑みながらも、君の手は止まることなく動かされて。そしてもちろん、隣にいた青峰君も君の取った魚や肉を覗き込むことを止めることはなく。2つ取っては、それを青峰君の基準で選んでカゴに入れ、そしてまた2つ取っては、とまるでいつもそうしているようにスムーズにそれが行われていった。


「・・・つーか、俺はキッチンに立つ事は決定なのか?」
「ふふ、お客さんにそんな事はさせないよ。」
「あーいや、そういう意味で言ったんじゃなくてな。」
「そうですよ、君。火神君なんですから、どうぞこき使ってください。」
「おい黒子!どういう意味だよ!」
「ほら、火神君、店の中なんですから静かに。」
「おまっ、!」

「ふふ、賑やかで良いね、大輝。」
「・・・やかましいの間違いじゃねえのか?」


会話をしている最中に、君が青峰君に一言何か言ったような気がしたけれど、その声は僕達には届かなくて。その間に、どうやら全てを買い揃えられたらしい。君が「さ、レジに持っていこう。」と僕達に声をかけて、ゆるりと歩き出した。何だかいつもよりも楽しそうな声音でそう言って微笑む君に気付いたのは、僕だけではなかったようで。


くん、何か楽しそうっスねー。」
「ん?そうかい?」
「・・・お前、ホント好きだよな。料理食わせるの。」


「どうせ鍋だけじゃ済まねえぞ、こいつ。」黄瀬君の言葉に答えたのは、カゴの中に入ったものを見てぽつりと呟いた青峰君の方で。そんな彼の声に、笑みを浮かべていた君の顔に少しだけ赤みが差して、「 皆と食べると思うと嬉しくて、つい買いすぎてしまったのは自覚しているよ。」なんて言葉が僕達に返ってくる。


「え、くん鍋以外にも作ってくれるんっスか!」
「ああ、 その、食べきれないかもとは思ったんだが、」
「そんなことないっスよ!全部食べるから、安心して!ねえ、黒子っち!」
「そうですね、くんの作ったものは美味しいですから。」


「僕もなるべく頑張ります。」 黄瀬君の言葉にぐっと拳を作ってそう言った僕にまたゆるりと顔に笑みを作ってくれた君は「ふふ、ありがとう。」なんて僕達が言うべき言葉を紡いだ。それから、僕達は会計を終えたカゴをテーブルに置いて買い物袋へと詰めていく。そして詰め終えたお菓子は僕と黄瀬君が、飲み物は火神君がそれぞれ手に持って、


「テツ君、私も少し持つよ?」
「いえ、女の子に持たすわけにはいきませんよ。」
「そうっスよ、桃っち!こういう荷物持ちは男の仕事っスから。」
「て、テツ君!ほんと優しいっ。」
「・・・あれ、桃っち、俺は?」


袋を抱えている僕達の横、つまり袋に野菜やら魚やらと丁寧に詰めている君とそれを横で見ている青峰君へと視線をやれば、詰め終えた袋を君、ではなくて青峰君の方が君の後ろから手を伸ばして、


「 ・・・茶碗蒸しか。」
「ああ、最近食べてなかったなと思って。他に食べたいものがあったか?」
「良いんじゃね?つうか、の作るモンなら何でも良いよ。」


「美味いって分かってるからな。」 袋の中の材料を見ながら青峰君がそうぽつりと呟くと、君は本当に嬉しそうに顔を緩めて。青峰君からしたら、別に彼を喜ばそうと思っていったわけではなく、純粋にそう思ったから口にしただけなのだろうけど、そんな彼からの言葉だからこそ、きっと君もそんな顔をするのだろう。普段から建前なんて言葉を知らないのかと思うくらいに、思った事しか口にしない彼だから、


「・・・昔っから思ってたんスけど、」
「??どうしたの、きーちゃん?」


そんな2人の様子を一歩後ろで見ながら、店から出て君の家へと向かっていた僕達の中で、黄瀬君がぽつりと声を発した。彼の声に、前を歩いていた2人も、そして黄瀬君の隣にいた僕達も彼の方へと顔を向けて、「青峰っちと君を見てると、」


「俺、将来こんな夫婦になりたいなって思うんスよねー。」


なんて、そんな事を何故だか嬉しそうに言い出したものだから、それぞれの反応を僕達は返して。目の前にいた君は「ふうふ・・・夫婦?」なんて驚いたような顔をして、青峰君と隣にいた火神君は普通の反応であろう、何言ってんだこいつと言わんばかりの呆れた顔をした。

けれど、桃井さんだけは、たぶんその事を1番身に染みて感じているのだろう、黄瀬君その言葉に、少し苦笑をしたけれど、すぐにそれは黄瀬君と同じような笑みになっていて。そんな皆の反応を見ながら、僕もいつも思っていることを素直に黄瀬君へと返したのだ。


君が理想の奥さんなのは分かりますけど、青峰君のどこに理想の夫の要素があるんですか。」
「・・・おいテツ。」


いつものように、ぐりぐりと頭に拳を押しつけられてしまったけれど。
Brillante
青峰君は君だから、こうなるんですよ。なんて、僕はその後ゆるりと紡いだ。



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