「ヤダっつってんだろー。」
誰から聞いたのか、訳の分からない噂を耳にしたグンジはそれを聞いてからずっとこの調子で俺に抱きついて離れないでいる。さすがに仕事へ行く時は、と思っていたのに、仕事にすら一緒に連れ出されてあげくには一緒に風呂へと入らされてしまった。普段のグンジとならそんなことはしないのだけれど、本人がこうも拗ねているとなるとどうも俺はこれに弱いらしい。
「あのな、俺とシキがそんなことになっている訳がないじゃないか。」
シキと俺がどうやらそんな関係になっている、なんて訳の分からない噂をグンジは耳にしたらしいのだ。「!!!シキティーとデキてるってマジ!?」そんな噂をされている俺が一番驚いている。何だいその噂は、珍しく出かけないでグンジの部屋で睡眠を貪っていたところに起き抜けでグンジが放った一言に間抜けきわまりない返事をしてしまったのは仕方のない事だと思う。
「・・・最近、シキティーと会ってたしィ。」
「あれはあっちが俺に気付いて近づいて来たんだよ。しかもそのまま攻撃されているのに、何でそれがそんな噂になるんだ。(しかも何でそんな噂を信じるのかな、君は。)」
「そういえばここにがいる時はァ、シキティーの機嫌がマジに良いしー?」
「俺の機嫌が彼に会って良くなった試しはないけれど?」
そんな噂が流れていることに対しても何とか払拭したいと考えてはいるけれど、まずは今の目の前にいる彼の誤解を解かなくてはならない。こうしてすり寄られてくる事自体は嬉しい事でもあるのだけれど、それでもやはり彼には悲しい顔をさせたくないというのが事実であって。(いつからだろう、彼にこんなにも、)
「 グンジ、」
「んあ?」
「俺がこうするのは、君だけのはずだが?」
彼の唇に自分のそれを重ねながらそんなことを呟く。彼に言ってしまっては怒るだろうから言わないけれど、子どもをあやすようになるべく落ち着いた声で問いかけると「・・・別にちゅーしなくてもヤれんじゃん。」 なんてひねくれた答えが返ってきた。「じゃあ、俺とシキがそんなことをやっているとでも?」 少し意地悪な質問をすれば、彼はひどく落ち込んだ様子で首元に顔を埋めてきた。そんな彼が愛おしく感じられて思わず背中へと腕を回す。
「すまない、少し意地悪が過ぎたな。」
「 ・・・してんの?」
「していないよ。」
「俺がこうやって体を触れさせるのは君だけだ。」 埋めている顔に頬をすり寄せて、片手でその金色の髪を梳くように撫でれば少しずつだけれど、それでも確実に彼の纏っていた空気が変わってきてくれているようだった。
「とヤってんの、俺だけー?」
「ああ、グンジだけだ。他の奴に掘られる趣味も掘る趣味も持ち合わせていない。」
「 、」
漸く納得してくれたのか、彼の俺を呼ぶ声から幾分か安堵のそれを感じる事ができた。その声に「どうした?」 と返事をしてみれば、彼の口から珍しく「ヤってもいいー?」なんて承諾を得ようとする言葉が紡ぎ出されたものだから、そんな愛しい彼の唇に、了承の意を込めて再度口付けをした。
不確かな情報に翻弄され
こいつは俺んだからなァ?シキティーなんかに、つーか誰にもぜってーやらねェ!!
title by 赤小灰蝶 / 不確かな情報に翻弄され