微かに冷たい外気が身体に触れ、目をゆっくりと開ける。微睡みながら辺りを見回していると、ボンヤリとしか見えなかった時計の針が何時を指しているのか徐々に見えてくる。短針は6時を指していた。
「 まだ6時・・・」
予想以上に早く起きてしまったシリウスは起こした上半身をまたベッドに沈める。少し乱暴に沈めすぎたのだろう、隣から 「ん、」 と彼の愛しい人の声がした。起こしてしまったかと思い隣を見たけれど、彼女は身動ぎをしただけだったらしく、そこにあるのは可愛らしいと思ってしまう寝顔だけだった。
「(・・・ああもう、何でこいつは、)」
隣の方を見て彼女の顔をじっと見る。そんなことをしてみたのは良いけれど、彼女が起きなかったし、が愛おしいという事が分かっただけだった。声を出そうにも彼女があまりに気持ちよさそうに寝ているから起こすことも出来ないし、 思いっきり抱きつきたいけれど勢いに任せてしまったらが起きてしまうかもしれない。思考を巡らせながらも常にの方向を見ながら考える。と、シリウスが急に呟いた。
「(そういえば、) 久しぶりに、見たな。」
の柔らかな髪を手でゆっくりと起こさないように撫でながら、そう言葉を紡ぐ。こういう時、端的に言えばこうして夜を共に過ごした後の朝の事なのだが、そういう時シリウスはたいていが起こしてくれて目を覚ますのだ。だから、彼女の寝顔をこうしてじっくり見る機会があまりなかった。愛しい恋人の声で起きられるのだから、これ以上のことはないのだ (彼女はそれにキスもしてくれる。) けれど、たまにはこうして先に起きてみるのも良いなんて思っている自分がいた。
「、」
「ん、シリ ウス、」
額にそっと唇を落として彼女の名前を呼んでみる、するとは寝ているにもかかわらず自分の名前を呼んでくれてすっとシリウスの肩に擦り寄ってきた。そんな彼女の行動に顔を緩ますシリウス。彼の友人達がいたらきっと冷ややかな目で見ているのだろう。そんなことをしても今のシリウスには何の効果もないのだろうけど。(彼女のことになると彼はどうにも手が付けられなくなると、友人達が呆れながら言っていた。)
「あー、本当やばい。」
の愛らしい行動に思わず抱きついてしまったのは良いのだが、その後自分がどうなるかを考えてなかった。今にも飛んでしまいそうななけなしの理性を懸命に掴む。その間にも抱きつくことは止めないのだからなんともおかしな感じだ。もちろん、彼はそんなこと少しも思っていないのだろう。このまま理性を離してしまえば、彼女が怒ることは目に見えている。それはどうしても避けたい。ならどうすればいいだろうか、
「・・・・また、寝るか。」
こうして彼女の寝顔を見ながら起きるのを待つのも魅力的だが、やはりいつものように彼女に起こされるのが良い。その考えに行き着いた時には瞼が閉じかけていた。愛おしくて仕方ない彼女の隣で柄にもなく幸せというものを直に感じながら、を抱きしめる腕に少しだけ力を加えて夢の中にもいるのであろう彼女のもとへと向かっていった。きっと彼女は夢の中でも笑顔で迎えてくれるであろうと、根拠のない自信を持って。
隣りで眠る君
俺の隣で眠る愛しいお前にそっと口付けをおくった
title by 確かに恋だった / 隣で眠る君