「(・・・早く、クロコダイルさんのとこにっ、)」
先程、ロビンから助言をもらったは、その言葉と謝罪のそれを引っ提げて廊下を駆けていく。の部屋と彼の部屋はさほど遠い所にあるわけではない。それこそ、駆け出す距離もないくらいの所にその部屋はある。けれど、仕事を済ませたばかりなら、そこにはいないだろうと判断したは少し離れた仕事部屋へと足を向けた。彼の自室の前で待つ事も考えたが、1秒でも早く、謝りたくて。まだ、話す事は全く纏まっていないのだけれど。
「(・・・ええと、ロビンさんが言ってくれた事を言って、それから謝って、)・・・わっ、!」
そうやって、走りながら彼に伝える事を考えていた所為か、案の定、は目の前の人物へと真正面からぶつかってしまった。自業自得ではあったが、来た衝撃を何の身も構えること無く受け止めてしまったため、その反動で後ろへとよろけて、さらには踵が何かに引っ掛かってしまい、ぐらりと身体の重心が後ろへと傾いて、
「わわっ、 へ、? あ、 え、は、・・・っ!!く、クロコダイルさんっ!!」
「・・・何してんだてめェは。」
突然の事で自分の身体が後ろへと倒れ込んでしまうのをどうも対処のしようがなかったは、何とも形容しがたい声を上げる事しかできなくて。・・・けれどそんな情けない声を遮るように、の別の、もっと驚いたようなその声と、それからが探していたその人の声が、代わりに廊下へと響き渡った。
「・・・反省してろと言ったはずだが、」
「てめェは言ったことすらも聞けねェのか。」 後ろに傾いていたの背中を支えつつ、続けざまにそう言葉を呟いてきたその人物の顔を漸く視界に入れる事ができたは、まだ纏まっていなかった脳内をさらにごちゃまぜにしてしまい、けれど彼を怒らせてしまったという事実だけははっきりと脳内の中心に置きながら、あたふたと言葉を発し始めた。
「あ、あのっ、 ごめんなさいっ。お、俺は、クロコダイルさんがっ、好きで、大好きでっ! ・・・だから、そのっ、!」
全く要領を得ないそんな言葉を、けれどは必死な様子で口にして。何で彼が怒ってしまったのか、まだ全く分からなかったけれど、それでも自分が原因だという事くらいはも理解していたから、もし、その所為で彼に愛想を尽かされてしまったら、 嫌われてしまったら?
「 ごめん、なさい、っ。」
そんな事を考えただけで、目から涙が溢れそうになってくる。謝る事しかできないけれど、謝る事はできるから、は今にも消えてしまいそうなその声で、ぽつりと再度その言葉を声を咽せさせながら呟いた。先程まで宙へと舞いそうになっていた手は弱々しく、腰の横で握られていた。
「 ・・・てめェは、意味が分かって謝ってんのか?」
「っ、あの、 俺の所為で、クロコダイルさんが怒ってるのは、分かります、」
「・・・(分かってねェのか。)」
短かったのか、長かったのか、今のには判断できないほどの沈黙が流れた後、ゆるりと彼の声がの耳へと響いてきた。震える唇でなんとか言葉を返せば、返ってきたのは再度の沈黙。その沈黙がさらにマイナスの考えを助長させてしまい、ただでさえ視線が下に向いていて床にシミを作ってしまいそうなくらいに溢れていたそれが零れ落ちそうになった。
やっぱり、もう彼は自分の事を・・・そう思うと、彼の口からそれを言われる前に、逃げ出したい衝動に駆られてしまい、はその場から去ってしまおうかと足を後ろに引いた、 その瞬間、
「わっ、 えっ!」
ぐいっと何かに引っぱられる感覚の後、すぐに浮遊感がを襲った。突然身体に走ったその感覚に、は驚きながら自分の状況を確認しようと、とりあえず視覚を頼りにする。ぼやける視界に映ったのは、床の色ではなく、ぶつかってしまった時に一瞬広がった、見慣れているコートのその色で
「えっ、 あ、 クロコ、ダイルさんっ??」
「・・・食事の時間だ。部屋に戻る。」
「へ? え、え??」
漸く、自分が彼に担ぎ上げられているのだという事を理解したは、何故こうなってしまったのかを聞こうと混乱を極めたその頭で、彼の名前を声に出す。けれど、怒っていたんじゃないのだろうか、そんな思いも込めて、彼に聞いたはずなのに、彼から返ってくるのは自分が求めていた答えとは少しずれたような答えだった。訳の分からないまま、はまた間の抜けた声を上げてしまう。
「・・・俺が、面倒な事が嫌いなのは知ってるだろ。」
「・・・だから、もういい。」 頭の上に疑問符を浮かべるをそのままに、続けざまにそう言葉を紡ぐ。面倒だから、何がいいのだろうか。・・・もしかして、自分の事だろうか? 聞こえてきたそれに、は思わず悪い方向に考えそうになる。 けれど、聞こえてきたその声色が、相変わらず感じ取りにくいそれだけれど、先程の、怒られてしまったその時のそれとは、全く違う、むしろ正反対に位置するような、感情の、声色だと、は感じ取ることができたから、
「・・・もうその話は終わりだ。」
「っ、 はいっ!!」
再度、響いてきたその声に、は嬉しそうに返事をして、目の前に広がるコートへとゆるりと手を伸ばして皺にならないように優しく掴んだ。驚きの所為か、それとも他の理由の所為か、零れ落ちそうになっていたそれはもう止まっていた。
その言葉は、他のどんなものよりも、彼には有効で
腰に回されているその腕が、聞こえてきたその声が、 とても優しくて、心地よくて、
いやもう本当に前後編とか長ったらしい文章になってしまってすみませんでしたっ!!
は、反省はしつつも後悔はっ(強制終了) す、素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by ノア様
は、反省はしつつも後悔はっ(強制終了) す、素敵なリクエストをありがとうございました!
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