「フフフ!なんだ、お前は鷹の目を迎えに行こうとしてたのか!!」
廊下に響く、そんな笑い声。そんな声の主の手によって持ち上げられて、ゆらゆらと宙に浮いている状態になってしまっているのは、その声の主が鷹の目と呼んでいる、ジュラキュール・ミホークの息子の、という少年だった。
「しかし、鷹の目とは似つかねェ顔つきだなァ?」
「・・・パパのこと、知ってるの?」
「ン? フフ、あァ、一応は、同業者ってヤツだ。」
もう片方の手を顎を挟むようにして顔に添えるその男は、を楽しそうに見やりながらそう答える。ぶつかった当初こそ、見知らぬ、自分よりもずいぶんと長身なその人物に怯えていたが、けれど、好奇心の方が勝ってしまったらしい。自分の父親の知り合いだと言う事に、そして何より、彼の肩辺りからぶら下がっているそれに、ひどくきらきらと目を輝かせながらその男を見ていた。
「フフ!俺が、鷹の目の所につれていってやろうか?」
「えっ、いいのっ?・・・あ、でも、パパが、知らない人にはついていっちゃだめって、」
「フッフッフ!なんだ、鷹の目にしてはずいぶんと過保護に育ててンじゃねェか!!」
「なら、ここを動かなきゃ良いンだな?鷹の目が来るまで、ここで俺と話でもするか?」 普通の子供の例に漏れず、「知らない人についていってはいけない」と父親に習ったは、その男の言葉に輝かせていた顔をすぐにしゅんと落ち込ませた。そんなの言葉に、大きく笑いながらけれどその男はすぐに次の案をへと出す。元々、1人では心許ないと思っていたは、そんな彼の申し出に、嬉しそうな笑みを浮かべて、元気よく頷いてしまった。
「フフフ!父親とは違って、えらく可愛げのある息子だな。 さて、何の話をする?」
「・・・えと、じゃあ、あの、あのね、」
「ン?」
男のそんな言葉に、は言いにくそうに言葉を詰まらせる。単にそう言うのが恥ずかしいだけなのか、何なのか、けれど、その男と彼の肩から垂れ下がっているそれとを交互にちらちらと見ているの視線に、その男が気づかないはずがなく。彼が確認するようにそれをゆらゆらと動かせば、やはり、の顔もそれに応じて顔が動いた。
「フッフッフ! 良いぜ、これに触りたいんだろ?」
「っ! さわっても、いいの?」
「あァ、構わねェ。」
「ホラ、好きなだけ触りゃァ良い。」 宙に浮いたまま、はその男の方へと、その肩から垂れ下がっているそれへと近づけられた。きらきらと輝いていた目が、いっそう輝きを増しながら、の小さな手が、ゆっくりとそれに触れようとした、そんな時、
「 っ!」
「っ! あっ、パパっ!!」
前方から聞こえてきたのは、にとって、早く会いたいと願っていた、愛しいその人の声だった。
子猫が大きな猫じゃらしと出会ったら?
その誘惑には、まだ子猫では勝てなかったようで。